語彙力アップにはテレビが有効!? 子どもの語彙力がどんどん増える日常会話
へと移行していきます。もし簡単な話し言葉だけしか使えなければ、授業で学ぶ多くの単語や表現を理解するのに困難をともなうでしょう。
「つまずきことば」ってなに?
小学校1年生の教科書には、次のような言葉が登場します。
「たたきつける」「こらしめる」「こわごわ」
このような表現をすんなりと理解できる1年生は少ないかもしれませんね。しかし、先生や親御さんの説明を聞いて自分なりに納得し、使い続けることでいずれ理解できるようになるでしょう。
熊本大学の茂木俊伸准教授によると、このような言葉を『つまずきことば』と呼ぶそう。
■「つまずきことば」とは?
各教科において、学習者(児童)にとってスムーズな意味の理解が難しく、指導者による何らかの手当てを必要とする(と予想される)語または語彙を指す。
実は、この『つまずきことば』、理解できないまま放っておくと大変なことになるのです。
子どもにとって「つまずき」が生じる言葉というのは、決して難しい言葉だけを意味するのではなく、自分の日常生活からの距離(普段使わない言葉)も含まれます。その問題点として、そもそも子どもにとって見慣れない言葉は、その理解自体が学習活動に含まれる、ということ。つまり「言葉」に「つまずく」と、学習がそこから先に進まなくなる可能性があるというわけです。
2007年~2009年度の科学研究費基盤研究による「幼稚園・小学校の全領域における国語力の向上を図るカリキュラム開発の基礎研究」をもとに調査した『つまずきことば』の具体例を挙げていきましょう。
まず、子どもたちにとって最も「つまずく」言葉は動詞が多く、とくに「動詞+動詞」形の『複合動詞』が多いということがわかりました。
「たたきつける」「なりわたる」(1年)
「ねむりこむ」「弱りはてる」(2年)
「食いちがう」「見立てる」(3年)
複合動詞は前後の動詞どちらかでも意味がわからなければ理解できないため、つまずきやすい傾向にあります。
そして次に、「ひやり」(1年)「いそいそ」(3年)といったオノマトペ(擬音語・擬態語)が多いことがわかりました。日本語のオノマトペは感覚的な理解が求められる語彙であり、本質的な理解や説明の難しさをともなうため、大人でも使用や説明が困難である特殊な言葉だと言えるでしょう。
ほかにも「しょうじ(障子)」「土間」「やぶ(藪)」