オリジナルの比喩で、表現力のある作文に激変――“それ” は “ほかの何” に見えるのか?
仮に、子どもが、このような文章を書いたなら「そのポッコリしたおなかは何に似ていた?」のような質問をしてあげましょう。「ママには『プクっとふくらんだ焼き餅』に見えたなあ」という具合に、親子で一緒に考えてもいいでしょう。子どもは、楽しみながら、いろいろとアイデアを出すはずです。ユニークな比喩表現が口をついたら「それは、おもしろいね。せっかくだから、それも作文に書いてみようよ!」と伝えてあげればいいでしょう。
【「たとえ」を使った例】
【1】たくさん食べたパパのおなかは、いつも以上にポッコリふくらんでいた。ぼくには、それが、やきゅう場のマウンドに見えた。
【2】たくさん食べたパパのおなかは、なかから小人が100人くらいでおし上げているのかと思うくらいポッコリふくらんでいた。
【3】たくさん食べたパパのおなかは、まるでサッカーボールをかくしているんじゃないかと思うほどポッコリふくらんでいた。
【4】たくさん食べたパパのポッコリおなかは、ふじ山のようにうつくしかった。
【5】たくさん食べたパパのおなかは、まるでデッカイふうせんみたいだ。はりでつついたら、きっとバン!とわれるだろう。
作文を書くときだけに限りません。普段から目に映ったモノを “他の何か” にたとえるエクササイズをくり返すことで、子どもの作文力はもちろん、観察力や発想力もどんどん磨かれていきます。
【比喩なし】ものすごくあつくて、ふくが汗でびしょびしょになりました。
【比喩あり】ものすごくあつくて、まるでプールにとびこんだかのように、ふくが汗でびしょびしょになりました。
【比喩なし】はじめて白い砂はまを見ました。とてもきれいでした。
【比喩あり】はじめて白い砂はまを見ました。おさとうをたくさんまいたかのようで、とてもきれいでした。
【比喩なし】キャンプファイヤーの火がはげしくもえていました。
【比喩あり】キャンプファイヤーの火が、まるで怒ったときのママのかおのように、はげしくもえていました。
比喩表現を用いた文章のほうが、一人ひとりの子どもの感性や性格が伝わってきます。何よりも読んでいて楽しく感じられます。
まじめなことをまじめに書く作文もありますが、10歳未満の子どもには、書く楽しさ、表現する楽しさを味わわせることが最優先です。そうでないと作文嫌いになりかねません。
自分の気持ちも比喩で表現しよう
なお、比喩は、子ども自身の感情を表現するときにも使えます。