イギリスの小学校では必須科目! グローバル時代を生き抜くための「RE」
イギリスの小学校では、クリスマスの時期によく、教会でクリスマス発表会を開きます。上の子はキリスト教系の公立校に行ったので、もちろんですが、宗教と特に関わりのない公立校に通っている下の子も、7歳になった今年、教会での発表会デビューをしました。
クリスマスの歌を歌ったり、クリスマスの話をしたり。楽器の得意な子は楽器を弾きますし、詩を朗読する子供もいます。7歳から12歳までの子供たちが、生き生きと発表をしていったのですが、今回特に興味深かったのは、発表のテーマが単純に「クリスマス」ではなく、「世界の冬の祭り」だったことでした。
キリスト教の(より詳しく言えば英国国教会の)建物の中で、キリスト教ではあるものの、異なる風習を持つロシア正教やギリシャ正教、さらにキリスト教とは異なる宗教であるユダヤ教やヒンズー教のお祭りが紹介され、歌が歌われたのです。
これは、イギリスの小学校できちんとカリキュラム化されている「RE」と地理、音楽や国語などの勉強がすべて渾然となったような、とても面白い催し物でした。
世界には異なる文化やしきたりがあふれている
イギリスは移民の多い国です。ですから、お互いの文化的背景を、幼い頃からある程度理解していくことがとても大切になります。
実際にこの国に暮らす私は、ディーワリー(ヒンズー教のお祭りで10月から11月頃に行われるもの)の時期には道路が渋滞することに気づくことがあります。同僚をお茶に誘って、
ラマダン(イスラム教の断食月)が終わったらまたね
と断られたことも、引っ越したばかりの頃はありました。さすがに今では日付を気にしていますが、その頃は全く考えていなかったのですね。
ちょうどクリスマスのあたりには、ユダヤ教のハヌカー(光の祭り)がありますから、「良いクリスマスを!」ではなく「良いハヌカーを!」という挨拶を時折耳にすることになります。
イギリスの小学校の必須科目「RE」とは
自分の家庭のものとは異なる文化はどうしてもわかりにくいものですから、イギリスの小学校や中学校では、RE(Religious Education「宗教学」)が必須となっています。必ずしも信じるために学ぶのではなく、不必要な摩擦をさけ、お互いを尊重するために学ぶのです。グローバル化が進み、様々な人々が肩を並べて暮らす現代社会を生きるための基礎素養だと考えられているとも言えるでしょう。