心理学者が指摘する “いい子症候群” たちの未来――自主性のない子どもの特徴5つ
のまま大人になると、たとえば友人と外食するときにメニューが決められない、という問題に直面します。自分が何を食べたいのかわからず、他者の好みや判断に任せてしまうのです。幼少時に親から聞かれたときも、実は「親に喜ばれるメニュー」を選んでいるため、その思考パターンが染みついていることが影響しています。
ほかにも会社で上司に間違いを指摘されただけで、自分が否定されたと思い込み、「悪いのは自分じゃない、相手が悪いんだ」とキレてしまうことも。否定されると存在価値が揺らぐ傾向があるので、責任の所在が常に自分ではなく、他者にずれてしまうのです。
『ほめると子どもはダメになる』(新潮社)の著者で心理学博士の榎本博明氏は、「親がコントロールしやすい子、つまり親の言いなりに動く子は自立できない心配がある」と述べています。自分で考えて動くことができない “指示待ち” の思考が身についてしまうと、判断力も実行力もないまま社会へと出ることになるので、子ども自身の将来のためにも「いい子症候群」からの脱却が望まれます。
「いい子症候群」を引き起こす最大の要因
子どもを「いい子症候群」にしてしまう一番の要因として、親が子育てで自分の欲求を満たそうとしていることが挙げられます。
子どもへの期待が強すぎて、親が子どもに依存しているのです。
親と子どもは違う人間であり、子どもはひとりの独立した個人である。そのことを忘れてしまうと、親は一方的に自分の理想を押しつけて、子どもはその期待に応えようと無理をしてしまいます。
「いい子にしなさい!」「言うことを聞きなさい!」
「なんでいい子にできないの?」「なんで言ったことができないの?」「ほかの子はできるのになんでできないの?」
これらの言葉を言われるたびに、子どもは親の期待に応えられない自分を責めるようになるでしょう。
できないことを残念がって失望した表情を見せたり、小さな成長を「できて当たり前」だと褒めなかったりしていませんか?また子どもが関心のあることに興味が持てず、子どもの気持ちを無視した行動をとっていませんか?
小さな子どもにとって、親は絶対的な存在です。自分の本当の気持ちを伝えられる親子関係でなければ、子どもはいずれ親に対して心を閉ざしてしまうでしょう。子どもが「いい子症候群」になってしまうのは、性格の問題ではありません。親子の関係性こそが最大の要因です。