“世界一寝不足” な日本の子ども。「11時間37分」が示す、眠りにまつわる切実な問題
就寝時間が遅いのは香港、台湾、韓国、インドの10時以降。日本の平均就寝時刻はそれよりは早く、午後9時17分でした。しかし、総睡眠時間では日本が17の地域の中で一番短い11時間37分です。これは就寝時間が遅いわりに、起床時間が7時08分と他国と比較して早い時刻であり、昼寝の時間も短めであることが影響しています。
これは大人でも同じ傾向にあり、OECD(経済協力開発機構)の2018年データベースによれば、平均睡眠時間8時間25分に対して日本人は31か国の中で一番短い7時間22分でした。子どもを持つ親世代は仕事も家事も抱え、これより短くなっているかもしれません。
日本は子どもの睡眠に対する認識がまだまだ低い
日本人全体の睡眠時間の短さが示すとおり、日本人は比較的に睡眠を重要視していない傾向にあります。寝るのを惜しんで一生懸命働くのが良いこと、という大人の考えがベースにあり、子どもには睡眠が大切だという認識が低くなっている気がします。
乳児の眠りに対する親の認識として、「子どもがよく眠れている」と回答した割合はアメリカ・イギリス・オーストラリアでは74%、アジア全体で56%。睡眠に問題があると答えた割合はアメリカ・イギリス・オーストラリアでは26%、アジア全体で52%でした。しかしこの調査で日本の回答は、「よく眠れている」の割合が80%程度にのぼり、問題あると答えた割合はたった20%程度だったのです。子どもの睡眠に対する日本の親の認識不足が現れています。
また、文化的な背景も大きく影響していると思います。欧米には、子どもが生まれても夫婦は「男女」であるという考え方や、子どもの自立を早くから促す文化があり、子どもは独立した部屋に寝かしつけるという習慣があります。一方、日本は家族で過ごす時間も多く、寝室も両親と同室で添い寝も多いため、親の就寝時間に子どもが影響されていると考えられます。食事後に親と子どもが一緒に居間でテレビを見て過ごすことも多いのではないでしょうか。
親が寝ないでテレビを楽しんでいれば、子どもも「まだまだ寝たくない」となるでしょう。
またアメリカでは、子ども部屋にはスマートフォンなどの電子機器を持ち込ませないよう、啓発活動がさかんに行われています。しかし日本は、子ども部屋にスマートフォンやゲーム機を持ち込んだり、テレビそのものを置いたりすることも多いですよね。