“世界一寝不足” な日本の子ども。「11時間37分」が示す、眠りにまつわる切実な問題
実は、寝室にテレビがある子どもは、テレビがない子どもに比べて18~31分睡眠時間が短くなるというデータもあります。これらの生活習慣や文化が、睡眠時間に影響しているのでしょう。
理想の睡眠時間には個人差がある
では、子どもはどれぐらいの時間睡眠をとるのが理想的なのかというと、それには年齢や体質などにより個人差があります。
まず年齢による差ですが、米国睡眠財団が推奨している年齢別の必要睡眠時間は、3歳から5歳が10~13時間、小学生が9~11時間、中高生が8~10時間です。でも日本だと、実際に中高生で8時間の睡眠が取れている子は少ないかもしれませんね。
これらの時間はあくまでも目安であり、体質や生活習慣などによる個人差を考慮する必要があります。例えば、11時間寝なければぐずぐずするお子さんもいれば、9時間でもすっきりと起きられるお子さんもいます。その子どもに合わせた本当に必要な睡眠時間を見極めることが大切なのです。
親御さんはこの必要睡眠時間を参考にしつつ、お子さんの昼間の活動の様子を見ながら、適切な睡眠時間を確保できるように意識してあげるのがよいと思います。
睡眠に関する学術書の数々。睡眠の重要性は、今後ますます高まっていくことでしょう。
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世界の他の地域の子どもたちに比べて、日本の子どもたちの睡眠がかなり短いというのには驚きました。大人は睡眠不足になると、日中のパフォーマンスが低下したり、疲れやすくなったりしますが、子どもにはどんな影響が見られるのでしょうか。次回は睡眠不足と子どもの体や心の成長との関係に触れていきます。
■ 明治薬科大学准教授・駒田陽子先生 インタビュー一覧
第1回:“世界一寝不足”な日本の子ども。「11時間37分」が示す、眠りにまつわる切実な問題
第2回:寝るのが遅いと自己肯定感が下がる。
デメリットだらけの「子どもの睡眠不足」(※近日公開)
第3回:「昼寝のせいで夜なかなか寝ない」問題の解消法。朝のグズグズ防止にも効果大!(※近日公開)
第4回:「起きる時間」を意識させるだけ!子どもの早起きを楽にするちょっとしたコツ(※近日公開)
【プロフィール】
駒田陽子(こまだ・ようこ)
明治薬科大学 リベラルアーツ准教授。早稲田大学にて博士号(人間科学)取得。日本学術振興会特別研究員、国立精神・神経医療研究センター特別研究員、東京医科大学睡眠学講座准教授を経て現職。日本睡眠学会、日本時間生物学会の評議員を務める。睡眠が心身の健康に及ぼす影響の研究に従事。
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