我が子の「成功」を願う親が、絶対に伸ばしてやるべき子どもの “力”
いま現在主流のものを覚えても、それが10年後に使える保証はありません。
とはいえ、誤解してほしくないのは、決して知識が不要というわけではないということです。新しい言葉の意味を推論によって知るプロセスにもいえることですが、新しい情報に注目するにも、いま持っている知識というフィルターをとおしておこなうからです。
知識は必要です。でも、さまざまなことをただ覚えただけでは意味がありません。知識をどう使って新しい知識をつくり出していけるか、ということが大切なのです。まさにいま現在、過渡期にある日本の公教育ですが、それこそ学びの基本的な姿勢がつくられる幼稚園や小学校の学習は、そういう視点でのものが中心になっていってほしいですね。
『科学が教える、子育て成功への道』
キャシー・ハーシュ=パセック、ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ 著
今井むつみ、市川力 翻訳/扶桑社(2017)
■ 慶應義塾大学環境情報学部教授・今井むつみ先生 インタビュー一覧
第1回:我が子の「成功」を願う親が、絶対に伸ばしてやるべき子どもの“力”
第2回:小さな子どもが喜ぶ「デジタル絵本」に、実は“学びの効果”は期待できない(※近日公開)
第3回:「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは(※近日公開)
第4回:家庭での学びが「アクティブ」で「プレイフル」になる、いちばんの方法(※近日公開)
【プロフィール】
今井むつみ(いまい・むつみ)
慶應義塾大学文学部西洋史学科卒、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了、ノースウェスタン大学心理学部博士課程修了。1993年より慶應義塾大学環境情報学部助手。専任講師、助教授を経て2007年より教授。専門は認知・言語発達心理学、言語心理学。とくに語彙(レキシコン)と語意の心のなかの表象と習得・学習のメカニズムを研究している。著書に『学びとは何か――<探求人>になるために』(岩波書店)、『言葉をおぼえるしくみ 母語から外国語まで』(筑摩書房)、『ことばの発達の謎を解く』(筑摩書房)など。
【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。
ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
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