「あきらめない力」も「あきらめる力」も大切! 子どもの決断力を伸ばす家庭教育法
の家庭教育をしているように思えてくるのです。自分の子どもが「不登校にならないか」「いじめに巻き込まれないか」といくつも不安があって、そうならないための家庭教育になっているのではないでしょうか。
それはすごく残念なこと。子どもは無限の可能性を秘めています。だとしたら、起きてもいない問題をイメージして不安を取り除くような発想ではなく、子どものいいところをどんどん伸ばしてあげるためになにをすべきなのかという発想で、もっとポジティブに家庭教育をしてほしいですね。
親が毎日のように不安な顔をしていたら、子どもだって不安になります。でも、お父さんとお母さんが人生を楽しんで、いつもニコニコして「人生って面白いよ!」と伝えてくれたら、子どもはワクワクした気持ちで毎日を過ごせるにちがいありません。「情動感染」という言葉がありますが、気持ちは即時に影響し合うところがあるのです。
そうすれば、幼稚園でも小学校でも友だちがどんどんできて、先生ともいい関係を築けるし、自己肯定感が高まり、結果として自然に必要なソーシャルスキルを学んでいくように思うのです。
『感情の正体 ――発達心理学で気持ちをマネジメントする』
渡辺弥生 著/筑摩書房(2019)
■ 法政大学文学部心理学科教授・渡辺弥生先生 インタビュー一覧
第1回:「あきらめない力」も「あきらめる力」も大切!子どもの決断力を伸ばす家庭教育法
第2回:我が子の自己肯定感を育むなら“親の基本”の徹底を。「見返りを求める」は絶対NG!(※近日公開)
第3回:劣等感を自尊心に!寝る前に親子で実践、「レジリエンス」の簡単トレーニング法(※近日公開)
第4回:「10歳の壁」ではなくて「10歳の飛躍」!親が我が子の10歳をもっと面白がるべき理由(※近日公開)
【プロフィール】
渡辺弥生(わたなべ・やよい)
大阪府出身。法政大学文学部心理学科教授。筑波大学卒業、同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだあと、筑波大学文部技官、静岡大学助教授、ハーバード大学在外研究員、カリフォルニア大学客員研究員等を経て現職。同大学大学院特定課題ライフスキル教育研究所所長も務める。専門は発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学。『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『小学生のためのソーシャルスキル・トレーニング スマホ時代に必要な人間関係の技術』(明治図書出版)