「自分の考えを言えない」問題の解決法。幼い子どもにこそ大切な“リベラルアーツ”
まず親がリベラルアーツの基本姿勢を身につける
ただ、日本では、リベラルアーツを行っている大学はいくつかあるものの、公教育の小学校や中学校で行っているところはないといっていいでしょう。それでも、リベラルアーツの考え方を家庭教育に生かすこともできます。
学校ではディスカッション形式の授業で学ぶものですが、家庭教育でなら、それは「親子の対話」に置き換えられるでしょう。ただ、親子で対話をする、つまり自分の意見をいうにも、自分の考えがなければそうできません。子どもと対話し、子どもの考える力、意見を表現する力を伸ばすには、まずは親自身が自分の考えをしっかり持って伝えられる必要があります。
そこで、パートナーがいる場合なら、お父さんとお母さんでいろいろな意見を交換し、しかもその様子を子どもに見せてあげてください。そのとき、「ディスカッションだから」と変に身構える必要もありません。ちょっと変な意見をいってしまってもいいのです。
それを見れば、子どもは「どんな意見を伝えたっていいんだ」と思ってくれるはずです。
アメリカで暮らしていてやはり気になるのは、自分の意見をいえない日本人がいかに多いかということ。もちろんわたしもかつてはそうでした。でも、どんなに素晴らしい考えを持っていても、それを表現できなければ意味を持ちません。意見の内容を問わず、まずはとにかく表現できる人間に子どもを育ててほしいと願っています。
『世界基準の子どもの教養』
ボーク重子 著/ポプラ社(2019)
■ ボーク重子さん インタビュー一覧
第1回:子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ
第2回:「親の態度」がカギを握る。子どもの自己肯定感を高める行動、低める行動
第3回:「ルールを守れる子ども」はこうして育つ。親が子に与えるべき大事な“時間”
第4回:「自分の考えを言えない」問題の解決法。幼い子どもにこそ大切な“リベラルアーツ”
【プロフィール】
ボーク重子(ぼーく・しげこ)
ライフコーチ。福島県出身。30歳の誕生日1週間前に「わたしの一番したいことをしよう」と渡英し、ロンドンにある美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、留学中にフランス語の勉強に訪れた南仏の語学学校でのちに夫となるアメリカ人と出会い1998年に渡米、出産。