子育て情報『「10まで言えるのに、5個が数えられない」? 未就学児への“数”と“時間”の教え方』

2019年7月11日 09:25

「10まで言えるのに、5個が数えられない」? 未就学児への“数”と“時間”の教え方

この手を動かす「実感」こそが、子どもの理解を助け、小学校に入った後には算数の文章題を読んだときのイメージを助けることにもなります。

また、「実感」が必要ということでいえば、「時間概念」の理解にも実感が欠かせません。幼い子どもは「朝、昼、晩」「朝ご飯、昼ご飯、晩ご飯」といった日々の生活習慣の繰り返しのなかで徐々に時間というものを感じていきます。そして、3、4歳になれば、季節の移り変わりを1年前、2年前と比べることもできるようになる。その記憶を伴った実感が時間概念を子どもに理解させるのです。

そうして、時間の大きな流れを理解すると、今度は生活習慣が「時計」の理解を助けてくれます。同じ朝といっても、6時と7時ではちがいます。とはいえ、時計の存在を知らない子どもにとってはそのちがいはなかなかわからないでしょう。
でも、毎日6時に起きる子どもが、その日はたまたま7時に起きてしまったなら、テレビでやっている番組もいつもとちがうことがわかります。こういった経験によって子どもは時計の存在、時計を読むことの重要性に気づいていくのです。

数にしても時間にしても、幼いうちから無理やり詰め込むような教え方にはほとんど意味はありません。とくに、人間の数量概念や時間の知覚などの発達にまったく関心がない大人が数字や計算ばかりにこだわって教えることは、子どもを数嫌いにさせかねません。焦ることなく、「実感を伴った経験」を増やしてあげてください。それが、結果的には子どもの数や時間の理解を深めてくれるでしょう。

「10まで言えるのに、5個が数えられない」? 未就学児への“数”と“時間”の教え方


■ 静岡大学情報学部客員教授・沢井佳子先生 インタビュー一覧
第1回:“○歳だからこれができないとダメ!”その思い込みから親を解放する「発達心理学」入門
第2回:幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法
第3回:「10まで言えるのに、5個が数えられない」?未就学児への“数”と“時間”の教え方
第4回:「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”(※近日公開)
【プロフィール】
沢井佳子(さわい・よしこSAWAI, Yoshiko)
1959年生まれ、東京都出身。チャイルド・ラボ所長、静岡大学情報学部客員教授。
認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。学習院大学文学部心理学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。

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