親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ
過去には考えられないほど、時代が変化するスピードは上がっています。そんな「いま」を生きる子どもたちに必要とされる力は、じつにさまざまです。研究者によって意見は異なりますが、大切な力として「自己決定力」「協働性」を掲げるのは、幼稚園教諭の経験もあり、著書『非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳〜5歳児のあと伸びする力を高める』(講談社)で注目を集める玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生。その真意を伺ってきました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
多様性ある社会をつくるためにも重要な「自己決定力」と「協働性」
いまの時代、あるいはこれからの時代を生きていく子どもにとって大切な力のひとつとして、わたしは「自己決定力」と「協働性」を挙げています。なぜなら、自己決定力と協働性は、自分らしく主体的に、あるいは他者とともに生きていく力そのものだからです。
いま、外国人がどんどん増えている日本でも、「多様性のある社会をつくることが大切だ」と盛んにいわれています。
そういう社会をつくるためにも、自己決定力や協働性は欠かせません。自分の考えを自分で決められないと、自分自身のことを大事に思えませんよね?同時に、他者のことも大事に思えないのではないでしょうか。自分らしさを大事にすることと他者を大事にできることは同時に大切なのです。
近年、選挙があるたびに投票率の低さについて懸念するニュースを目にします。もしかすると、投票に行かない人は自己決定していないということなのかもしれません。そうではなく、社会全体を見回して、「いまの時代にはこういう政治が必要だ」と、自分の考えを決めることも大切です。その一方で、「自分はこう思うけど、別の考えを持つ人もいる。ちがう考え方のなかにもいいところがある」というふうに考えることも、また重要ではないでしょうか。
子ども時代に自分らしさや個性を大事にされ、興味関心に即した遊びを大事にすることは、自己決定力を養い、他者の視点にも立ちながら他者と協力して生きていくことを大事にすることなのです。
子ども自身が興味を持っていることについて決断させる
では、どうすれば子どもに自己決定力はつくのでしょうか?大切なのは、なるべく小さい頃から自分で選ぶ・決めるという経験をさせることです。
いま、日本では、早期教育が盛んです。