「私には才能がない」は努力をしない人の言い訳。スズキ・メソードの人間教育
の音を繰り返し根気強く聞くしかないのです。とにかく休まず続けることが何よりも大切。6歳の子どもで新しい能力が身につくまでに半年はかかるそうです。反復の努力で得た能力により、新しい道が開ける実感を得ることができ、それが次のチャレンジにつながり、人生を切り開く大きな力へと結実していく――まさにこれは、いま注目のGRIT(*)。達成で得られる成功は、「繰り返す」ことから始まるのです。
(*GRITとは、Guts度胸、Resilience復原力、Initiative自発性、Tenacity執念の頭文字を合わせた言葉で「やり抜く力」を意味する)
ポイント2:行動力こそが人生を切り開く(自主性・行動力)
人には誰でも短所がありますが、一番悪いと言えるものが「やらなければいけないと思いながら、すぐにやらないこと」。鈴木氏は、これは「人の一生の運命を左右するほど重大な能力」だと述べています。多くの人が抱えている欠点だと思いますが、その原因は「親や先生に言われてからやる」受け身の習慣が身についてしまっているから。
自主性を育むことが、行動する能力を伸ばす解決策となります。
ポイント3:子どもの生きる力を信じる(生命力)
「教育の“教”にフォーカスしすぎて、“育”という子どもの生命力を忘れている」と鈴木氏。「教える」ことは手段で、本来「育つ、育む」ことが目的なのに、今の教育は本末転倒になっているというわけです。子どもに本来備わっている“生きる力”を伸ばすべく、「結果(テストの成績など)重視=教える教育」ではなく、「学びの過程を大事にする=育てる教育」への転換が求められています。子どもは自分自身で育つ力を持っています。まず親がその力を信じるべきではないでしょうか。
これら3つは全て、2020年の教育改革の中でも提唱される「目標に向かって頑張る力、感情をコントロールする力」などの非認知能力と言えます。その言葉がなかった時代から、人間力を身につけるための要素は変わっていないのです。
「継続は力なり」ですね。次に、メソードから学ぶ、家庭でのお子さんとの関わり方についてご紹介します。
「親子一緒に」がキーポイントの人間教育
スズキ・メソード自体は音楽教育ですが、同時に音楽というツールを使って行なう人間教育でもあります。学習などのさまざまな場面で生かせそうな、家庭でできる学びのポイントを押さえておきましょう。