ただの音楽教育じゃなかった! リトミックの効果とレッスン内容を詳しく解説。
神原氏が提案するレッスンの一例に、「ボードを使ったリトミック」があります。段ボールや厚手の色画用紙を直径20cmくらいに丸く切ったものを使用して、車のハンドルに見立てて走ったり、帽子のように頭にのせて歩いたりとさまざまな動きをするのです。このとき、伴奏に合わせてただ自由に動くのではなく、「八分音符の拍子に合わせて足を動かす」といったルールを決めると、より高度な音楽教育につながるのだとか。
また、石丸氏は、5歳ごろからはグループの中でもリーダーやそれぞれの役割を決めることができるようになるといいます。自分がリーダーになったりリーダーに従ったりして、さまざまな立場になることで、考える力や協力する力が身につくそうですよ。
リトミックを始める前の注意点
楽しそうなリトミックのレッスン内容に、すっかり心惹かれた親御さんもいるのではないでしょうか。ですが、子どもに無理にリトミックをさせてはいけません。
石丸氏いわく、保護者の心の準備として「無理やりにやり方を押しつけない」ことを心得ておくべきなのだそう。
リトミックは、決められた動きを練習したり、決められた活動したりするものではありません。また、良い・悪いの評価をするものでもありません。「音楽と一緒に動いていたら、自然とできるようになっていた」と子どもが感じられることが理想なのです。
リトミックの提唱者であるダルクローズは、精神的・肉体的に不安を感じているときは、心と体の統一や調整に欠けており、リズムに反応できないといいます。子どもに無理にリトミックをさせることは、こうした不安につながるので、本来の目的を達成できない意味でもおすすめできません。
リトミックは幼児教育とはいえ、あくまで大切なのは、子どもに「音楽で動く楽しさや友だちと一緒に動く楽しさ」を経験させることです。子どもが笑顔でリトミックを楽しめるよう、見守ってあげましょう。
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「動くのが楽しい」「音楽を聴くのが好き」な、好奇心旺盛な幼少期の子どもたちにとって、リトミックを習うことにはたくさんのメリットがあります。
0歳から始められるリトミック。親子のコミュニケーションが増えるきっかけにもなりますので、ぜひ楽しみながら始めてみてくださいね。
文/かのえかな
(参考)
芸術教育研究所おもちゃ美術館(2001),『0~5歳児のリトミック指導』,黎明書房.
石丸由理(2003)