自己肯定感が「高い子の親」と「低い子の親」。驚くほど全く違う、それぞれの特徴とは
子育ては「未来をつくる人材の育成プロジェクト」
また、いまの親御さんたちを見ていて強く感じるのは、真面目すぎる面があるということ。先行きが不透明な時代ですから、子どもの将来を思って子育てに力を入れるという感情はもちろん理解できます。でも、不安な気持ちからは、いい結果は得られません。「子どもはきっと大丈夫! なんとかなるさ」と、もう少し気楽に考えていいとも思うのです。
わたしは、子育てとは「未来をつくる人材の育成プロジェクト」なのだと考えています。我が子だから「きちんと育てないといけない」と力が入るわけです。ならば、とらえ方を少し変えてみましょう。「子どもは神様から一時的に預かったたまもので、独り立ちできるように育てて社会に還す」という感覚で子育てをするのです。
「自分のもとにたまたまやってきた子どもは、はたしてどういう人間なのかな?」と考えて、まずは観察してみる。そうして、「こういう性格なのかな」「得意分野はこういうところかな」というふうに見立てをして、その子の強みが生かせるように励ましながら、子どもが自分で決めていけるように支援してほしいのです。
子どもは最終的に親離れしなければなりませんし、親もまた子離れしなければなりません。そのためにも、子どもに自分の人生のすべてを注ぐようなことは避けたほうが賢明です。親であると同時にひとりの人間であるみなさんの人生には、さまざまな出来事があります。子育てという人材育成プロジェクトに携わることは、そのひとつに過ぎません。そういうふうに少し俯瞰して考えることが、子育てに入れ込みすぎることなく、子どもをひとりの人間として認められ、自己肯定感を高めることにもつながるはずです。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は大きく揺れ動き変化しています。
そんな時代に遭遇した子どもたちには、これまで以上に、自分で考え、道を切り開いていく力が必要になってくると思います。ぜひ、失敗を恐れずに挑戦できる力を育んでください。
『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』
中曽根陽子 著/晶文社(2016)
■ 教育ジャーナリスト・中曽根陽子さん インタビュー記事一覧
第1回:親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?
第2回:学歴の価値はどう変わる? 「偏差値の高い大学に行く」