子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?
の経験を積めないからです。人間という生き物は、失敗から多くのことを学びます。でも、なんでもかんでも親が先回りをしてしまうと、子どもは失敗することなく育つことになる。親の先回りが、学びのチャンスを子どもから奪ってしまうのです。
ただ、子どもに失敗をさせることが重要だと言っても、そのバランスは大切。たとえば、10回挑戦して9回失敗するようなことになれば、子どもはチャレンジする勇気ややる気を失ってしまうでしょう。
そこで、もう少し成功率を上げられるようなお膳立てを、親であるみなさんに考えてほしいのです。もちろん、あからさまに手出し口出しをすることはよくありません。
なぜなら、子どもには子どもなりのプライドがあるからです。そのプライドによって、親の手出し口出しに反発して、やろうとしていたことを結局投げ出してしまうことにもなりかねません。
ですから、こっそりとお膳立てをしましょう。それこそが「いい先回り」です。たとえば、料理をお皿に盛りつけるお手伝いをするような場合なら、長い菜箸だとうまく使えないということもあるでしょう。ならば、子どもでも扱いやすいトングを用意するといった具合です。それでうまくできたなら、しっかりとほめてあげる。そのことが、子どもの自己肯定感や、自分に対する信頼を高めてくれます。
「いい先回り」とは、親としてしておくべき「予測」
「いい先回り」とは、親としてしておくべき「予測」と言い換えてもいいかもしれません。たとえば、子どもと電車に乗って出かけるとします。すると、移動中の車内でぐずってしまうようなことが予測できます。それなのに、親がそのことを予測せず、なんの準備もしていなかったら、いざ子どもがぐずってから場当たり的に対処することになります。
でも、しっかり予測ができていたら、お出かけグッズを入れるバッグのなかに、子どもの機嫌がよくなるようなものを忍ばせておくこともできるでしょう。
また、子どもは親のやることをやりたがるものですが、まだ成長段階の途中にある子どもには親と同じようにはできないことや、危険が伴うようなこともたくさんあります。親が食器を洗っていたら、子どももやりたがるというのもよくあることですよね。そのとき、子どもが皿を落としたとしても割れる心配がないプラスチック製の食器を用意しておくとか、あるいは床が濡れてもいいようにビニールシートを敷いておくのです。