つい叱りたくなるときでも、親は「インタビュアー」になれば落ち着いて我が子に向き合える
怒りではなく、「一次感情」を落ち着いて伝える
では、どうすればいいのでしょう?その答えは、子どもの言動に対する怒りやイライラの感情の前にある、「落胆」「心配」「不安」「寂しい」「悲しい」といった一次感情に着目することです。怒りをそのまま子どもにぶつけるのではなく、怒りに達するほど「あなたを心配しているんだよ」だとか「嘘をつかれると悲しいんだよ」といった一次感情を子どもに伝えてください(インタビュー第1回参照)。
すると、子どもの心に響く度合いがまったく違ってきます。「なんで嘘つくの!」と叱り飛ばされるのではなく、「お母さん、嘘をつかれると悲しいな……」と言われたなら?子どもは子どもなりに、「本当に悪いことをしたんだな」と感じて反省してくれるはずです。
一方、ただ大声で子どもを叱るようなやり方では、「なにか大声で怒鳴っているな」という事実はわかっても、ではどうしてほしいのかということも、親の素直な一次感情も、子どもには伝わりません。だから子どもは同じ過ちを繰り返し、そのたびにまた親が叱るという悪循環に陥ってしまいます。
怒りに飲み込まれないようにして、自分の素直な一次感情を落ち着いて伝えるのです。そうすれば、幼い子どもにもその気持ちは必ずきちんと伝わります。
「インタビュアー」になれば、親のやるべきことが見える
そのように、子どもを叱りたくなるときにも落ち着いて子どもと接するために、子どもに対しては「インタビュアー」になることを意識してみてください。
子どもが約束を破ったとか嘘をついた、暴力をふるったというような、子どもを叱りたくなる場面では、親はつい裁判官のような「評価者」になりがちです。そうして、「あなたは駄目だ!」と評価を下すことが自分の仕事だと思ってしまうのです。
でも、子ども自身からすれば、ただどうしていいかわからなくて、親が叱りたくなるような言動をしてしまっただけということもよくあるケース。友だちにおもちゃを取られて、「返して」という言葉が出てこなくてつい手が出てしまった……。そんなときに、「子どもが暴力をふるった」という事実だけに目を向けて叱るのではなく、インタビュアーになって「なぜ手を出したのか」ということを聞き出してほしいのです。子どもの言動にはその子なりの理由が必ずあります。しっかりと子どもに向き合って話を聞いて、子どもなりの理由を聞き出すことができたら、頭ごなしに叱るのではなく、「そういうときは『返して』って言えばいいんだよ」