「人に頼る力・甘える力・助けてもらう力」の高い子が、 “なんでも自分でできる子” よりも強いワケ
「〇〇君は自分でなんでもできるのに、うちの子は先生に頼ってばかり」「お友だちに手伝ってもらうことが多いみたい」と、悩んでいる親御さんは少なくないでしょう。
もしかしたら、「自分のことは自分でできる子」「人に迷惑をかけない子」に育ってほしいと考えていませんか。でも、じつは「人に頼ること」も立派なスキル。しかも、これからは「頼る力」が生きていくうえでの必須スキルとも言われているのです。
今回は、「人に頼る力」「頼る力の育て方」について考えてみましょう。
日本人は人に頼ることが苦手?
日本人は一般的に、人に頼ることが苦手なようです。医師・公衆衛生学修士である吉田穂波氏は、この理由を著書『「頼る」スキルの磨き方』のなかで、「人に頼ることは “相手に対して申し訳ないこと” で、なるべく避けるべきだと考える人が多い」からではないかと分析しています。
また、日本の社会傾向として、「悪いことが起きても自己責任」といった自己責任論が多いことも原因のひとつなのだそう。
助けてほしい状況にあっても、「問題が起きたのは、あなたの責任でしょう?」と思われてしまうのではないか……と、他者に頼ることを躊躇してしまうのです。
しかし吉田氏は、今後はもっと多様性を重視する社会になっていくため、「誰もが困っていることを打ち明けやすい環境」にしていかなければいけないと強調しています。そしてこれからは、人に頼るスキルが「社会人にとって最も必要な能力のひとつ」となっていくようです。
「人に迷惑をかけない子」に育てようとする親が多い
なぜ日本人は人に頼ることが苦手なのか。教育評論家の親野智可等氏は、「自分のことは自分で。人に頼るな。甘えるな」と、親が子どもに言いすぎているからだと述べています。
では、「自分のことは自分で。
人に頼るな。甘えるな」と親が言い続けた結果、子どもはどんな大人に成長するのでしょう?親野氏は、子育てや家事をひとりで抱え込んでしまってうつ病になったり、職場で度を超えた仕事量をこなすうちに過労死してしまったりといった事例に結びつく可能性があるとしています。
そういう人たちが「自分1人ではもう無理。助けて」と言えないのは、なぜでしょうか? それは、子どもの頃からの刷り込みによって、「自分の仕事は自分でやらなければ。人に迷惑をかけてはいけない。人にやってもらってはいけない」という気持ちが強いからだと考えられます。
(引用元:東洋経済オンライン|「自分のことは自分で!」子どもに実は逆効果な訳)