ブランケット症候群とは?ぬいぐるみやタオルが手放せないのは愛情不足が原因?【助産師監修】
ブランケット症候群の原因は?
赤ちゃんが生まれてから、ママはおっぱいやミルクを与えたり抱っこをしてあやしたり、赤ちゃんの欲求を満たすために努力していますね。ウィニコットによると、こうしたママの献身が赤ちゃんに自分の心のままの世界=内的世界があるという錯覚を起こさせるのだそうです。
ところが成長するにつれ、赤ちゃんは自分の思い通りにいかない現実=外的現実があることを知るようになります。内的世界ではママと一体かのようにとらえていた自分が、現実の世界ではママから分離独立した不確かな存在であることに気づくのです。
このような心もとない状況を埋めるのが、移行対象とされるブランケットやぬいぐるみです。これらは内的世界と外的現実を橋渡しする役割を果たし、ママの代わりに落ち着きを与えてくれます。
愛情不足が原因ではない
移行対象になぞらえれば、ブランケット症候群は現実世界を受け入れるための成長の過程で起こる正常な心理といえます。愛情不足を心配する声が聞かれますが、むしろママとのほど良い関係が築けているとみる向きもありますよ。
ブランケット症候群の主な特徴
ブランケット症候群は、毛布やタオルなどやわらかくて肌触りの良いお気に入りのアイテムを肌身離さず持つことで不安な気持ちをやわらげています。そのため、それを取り上げようとすると子どもは不安に対処できず落ち着かない様子をみせます。清潔を保つために洗濯するのさえ嫌がることもあります。
こうした状態は未就学児に多く見られます。出現時期はまちまちですが、移行対象を調査した研究では毛布やタオルへの愛着は生後7~12ヶ月に生じ、5~6歳頃まで続くといわれています(※1)。ぬいぐるみや人形への愛着は2~3歳頃にはじまり、その使用は4歳以降まで続きます。
きっかけもさまざまで、断乳や引っ越し、きょうだいが生まれたなど愛着を持っていたものと離れる経験から生じるている事例があります(※2)。
いずれも分離不安がほかの事柄で発散されたり、自己が確立されたりするようになると自然と消失していきますが、大人のブランケット症候群もめずらしくないため、焦らず向き合うようにしましょう。
ブランケット症候群の解決策
無理に取り上げない
ブランケット症候群は成長とともに消失していくと考えられ、解決する必要はありません。無理に取り上げようとすると愛着が執着に変わり、別の物に執着したり、執着しているのを隠したりすることがあるため注意が必要です。