夢はユーチューバー? 男子中高生が将来“ものづくり人”になりたいワケ
と感じているからではないかと考えています。
この仮説に一定の根拠づけをしてくれる専門家の見解もあります。
『資本主義の終焉と歴史の危機』の著書がある経済学博士で法政大学教授の水野和夫さんは、2017年3月28日付の『毎日新聞』朝刊の「時論フォーラム」の中で、次のように指摘しています。
**********
『世界が悪い意味で「中世に戻った」ともいえます。上位85人の富豪が世界の富の半分を握り、貴族のように世襲する。あるいは、「縁故資本主義」になった。多国籍企業や投資家のネットワークが各国の政策に影響を与えている』(2017年3月28日『毎日新聞』朝刊「時論フォーラム」より)
**********
この指摘はわたしたちが置かれている今の世の中の状況を端的に言い当てているように思うのです。
わたしたちは、多かれ少なかれ煮え湯を飲んで世襲の有力者のネットワークに頭を下げて加わらない限り、いい暮らしができない時代に生きているのではないでしょうか。
ここに、この時代に男の子を育てているパパやママに向けての子育てのヒントが潜んでいるのではないかと筆者は考えます。
いくら安定しているとはいえ、公務員になったなら世襲政治家たちからの無言の圧力に逆らえない毎日が来るわけですし、大学病院の勤務医になれば投資家の顔色をうかがう理事長さんらから下る指針には抵抗できません。
筆者は政府系機関の職員も医療福祉系大学の職員も経験したことがありますので、そういった現実はいやというほど知っています。
そこへいくと、“自分がつくったもの”には自分の魂をこめることができます。
中学生男子たちはそのことが肌でわかっていて、「自分がつくったものは自分を裏切らない 」といった気持ちから、ものづくりの道を志向しているように見えなくもありません。
●高校生の場合もエンジニア・プログラマー・クリエイターが“なりたい”ベスト3を独占
もう一度ソニー生命保険の意識調査の結果に戻りますが、まったく同じ質問を男子高校生にした結果でも、やはり上位3位までは“ものづくり”系の仕事で占められているのです。
高校生男子が“将来なりたい職業”の第1位は中学生の男子と同じで「ITエンジニア・プログラマー」(20.8%)、第2位に「ものづくりエンジニア」(13.3%)が入り、中学生男子では3位に入った「You Tuber」