千葉の中止はナゼ? 日本で「保育園」建設に必要な条件3つ
●何より大切な、周辺住民の理解
土地を用意し、人員を確保し、許可が下りたから作って良いかと言うと……そうでもありません。
空き地の中にぽつんと保育園があるだけならば可能でしょうが、そこは厳しい日本の住宅事情。近隣の住民の皆さんへの説明を行わなければなりません。
特に、隣接したお宅にはきちんと事情を説明する必要がある でしょう。誰だって、隣にいきなり保育園ができたらびっくりします。
「私たちにも静かに暮らす権利がある」というのは、千葉県市川市の私立保育園の建設中止問題で周辺住民が述べた意見ですが、それも一理あります。
最初から保育園があると知って住むことと、静かな場所だからと気に入った土地に保育園が建つのとでは話が違います。
そこで大切になるのは、周辺住民との話し合いです。
住民の皆さんの不安をひとつずつ、消していくことが大切になります。
「うるさくなるんじゃないの?」
「家のものに悪戯されないかしら」
「保育園が必要なのはわかる。でもなぜこの場所なんだ?」
周辺住民の皆さんは、頭ごなしに反対しているわけではありません。ただ、不安なのです 。
そのため、彼らが抱えているクエスチョンを拾って、誠実に答えていく必要があります。
世田谷区では、建設反対をする住民に「地域の一員として仲間に入れてもらいたい」と説明会を何度も開催した結果、地域密着型の保育園ができた事例もあります。
ただ、そういったケースは非常に稀です。
2004年に放送された『クローズアップ現代』(NHK)では、周辺住民の理解を得られぬまま建設した結果、日中でも園児の姿が見えぬよう分厚いカーテンを引く保育園が紹介されています。
子どもは、隠さなければならないものではないはずです。せっかくの保育園、できれば地域に受け入れてもらいたいものですね。
そのために必要なのが、相互理解。ママやパパの事情、地域の人たちの事情。譲り合って、双方にとって良い結論になるよう、歩み寄りながら話し合えたら理想ですね。
【参考リンク】
・児童福祉施設最低基準 | 厚生労働省(PDF)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/tuuchi-04.pdf)
●ライター/広瀬まお(コピーライター)