子育て情報『プロに任せるべき? 高齢の親を自宅で「看護」する責任の重さ』

プロに任せるべき? 高齢の親を自宅で「看護」する責任の重さ

これが“介護”に携わる人のあるべき姿勢ですね。

しかし、看護に携わる人はそれだけでは不十分です。おむつ交換の際にたとえ微量であったとしても下血を確認したなら、現在のお母様の状態を観察しながらおむつ交換を行い、在宅療養支援診療所のドクターに報告をする などの、行動を起こさなければなりません』(50代女性/都内総合病院看護師長、看護学博士)

この看護師さんのお話からも分かるように、お母様がまだ介護のみならず看護をも必要とされる状態であるのだとしたら、それを看る立場のご相談者様の責任はかなり重いものだということがご理解いただけるかと思います。

『自分の手を使い自分の口で食事を取れるところまでは回復しているものの、時としてむせってしまいタンの吸引が必要となるような場合には、そのタイミングを見過ごさないことやお母様が苦しまないような吸引技術の習得が必須となります。そうでないと、“誤嚥性肺炎” などにつながって行くおそれもあるからです』(50代女性/前出・看護学博士)

このように介護と看護の間にはかなりの程度の質的な隔たりがありますので、介護のみならず看護を必要とする高齢者の在宅復帰には、看る人の立場にも立った慎重な判断が必要となるのです。

●職業として看護を行う専門家に任せるのも道

5年ほど前になくなった筆者の父親は認知症が進行して最期は苦労しましたが、それでも体は丈夫だったため看護の必要がありませんでした。

食事の手伝いや洗面の手伝い、排泄の手伝いなどの介護はもちろん大変でしたが、それでもタンの吸引や経管栄養、カテーテル管理などといった看護の必要がなかった分、まだ気が楽な面もあったと思います。

国家資格を取得するのに多くの勉強と労力を要する看護の仕事は、介護の経験がある筆者から見ても専門性が高く難しい もののように感じます。


それを“家族”であるということで資格がなくても行うわけですから、在宅での高齢者の看護は“医師との懸け橋”という意味において相当の責任を伴う行為と言えます。

そのため、ご相談者様へは「自分には重すぎる仕事かな」と感じたなら、けっして無理をせずに職業として看護を行う専門家に任せることも道であると、申し上げたいと思うのです。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
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