精神科は必要ナシ? 子どもの引きこもりで鬱になった親のベストな処方箋
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。
筆者は以前執筆したコラム『放置じゃ絶対治らない!? “引きこもり”が男性に多いワケと抜け出す方法』の中で、「今やわが国で50万人から100万人超にのぼるとされるニートやSNEPといわれるような“社会的引きこもり”の人が、 精神神経科的な治療の手助けなしに自然に立ち直ることはきわめて困難である」というテーマのお話をいたしました。
大阪市で東洋医学も取り入れた『橋岡内科小児科診療所』を開業する医師の橋岡龍也先生はそのホームページの中で、
『ニートやSNEPといわれる人たちは、引きこもっている本人は「これでいいのだ」と思っているケースが多いのにもかかわらず、親御さんたちが概して心配のあまりに不眠や鬱(うつ)の症状を呈して我々医者のところを訪れる。
しかし、親御さんまで向精神薬や睡眠薬への依存症に陥ることを避けるためには、精神科的な治療を受けるのは引きこもっている本人たちだけにとどめた方がいい』
といった主旨のことをおっしゃっています。
これはどういうことなのか?一緒に考えてみましょう。
目次1 精神科は社会性にまで関わる病気を治す場所2 引きこもりが増加したのは、若者たちが労働のコスパの悪さに気づいたから3 鬱に陥っている親御さんはまずは漢方を試してみては?
●精神科は社会性にまで関わる病気を治す場所
橋岡先生は内科が専門の医師でありながら、先生の診療所には鬱病の患者さんが数多く訪れており、ほとんどの人が完治に至っているといいます。
橋岡先生によれば、鬱病は内科学でいう『慢性疲労症候群 』という身体の病気と重なる部分がとても大きい精神の失調状態であるため、漢方薬で内臓を整え機能を改善することで内臓と関わりの深い精神の失調状態は治せるということのようです。
これに対してニートやSNEPと呼ばれる人たちが陥っている“引きこもり”の症状は、それをきたす原因がその背景にある社会問題や経済問題、行政や政治の問題と深く関わっていると指摘。
こういう人たちは、もともと社会学や社会心理学、哲学といった隣接分野と関連が深い精神神経科の引きこもり外来などを受診するのが合理的だというのです。簡単に要約するなら、引きこもりに苦しむニートやSNEPは精神神経科を受診すべきだが、引きこもりの子どもを心配するあまり鬱に陥っている親御さんは内科的治療を受けた方がいい 、ということになります。