優しかった人がナゼ? 「最近怒りっぽすぎる」と感じた時に疑うべき病気
●内科的原因
発熱、痛み、インフルエンザ、甲状腺機能亢進症、糖尿病、中耳炎、歯痛、水分不足など。
●婦人科的原因
閉経、更年期障害、月経前症候群、多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群など。
●精神科的原因
統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、強迫性パーソナリティ障害、アルコール依存症など。
●神経内科・脳外科的原因
認知症、脳血管障害、脳腫瘍など。
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この中で、最後の「神経内科・脳外科的原因」によって起きている易怒性こそが、それ以外のものとは『質的にやや違う』と、前出のA先生は指摘されているのです。
●脳の器質的な障害が原因の“怒りっぽさ”には周囲のあたたかい見守りと寛容が不可欠
千葉県市川市で包括的な地域医療とプライマリーケアを行う『仁和医院』を開業する医師の竹川敦先生は、かつて総合病院の精神科の勤務医だったころ、その易怒性のあまりの激しさから精神科病棟でしか対応できないとの判断で転院してきた、当時50代の“易怒性を主症状とした内科の患者さん”の思い出を、ご自身のホームページに記されています。
医師や看護師に対しても、「何だ貴様は!」と容赦なく怒鳴りつけるその男性について竹川先生は最初、認知症の初期か躁うつ病の躁状態を疑ったとのことですが、脳外科での診断の結果、答えは悪性度の高い脳腫瘍 だったそうです。
そのお話の中で竹川先生は、余命が持って半年くらいという男性の奥さまの“夫婦愛”を称賛されています。
現代の最先端の医療技術をもってしても治せない病気は、まだまだたくさんあります。
今回お話したような“激しすぎる易怒性”を呈するような脳の器質的な病気は、認知症にしても悪性度の高い脳腫瘍にしても、現時点では“医療技術で治せない病気”のうちに入るのだろうと思います。
身近な人、愛する人がもしそのような病気にかかってしまったとき、わたしたちにできることは“生き方の工夫をして、生ききる手伝いをする”ことではないでしょうか。晩年その思いやりに満ちた人格を認知症のせいですっかり失ってしまった筆者の父親も、あんなにやさしい“理想のママ”だったのに脳にできた腫瘍のせいで人柄を変えられてしまった同じ町内の奥さまも、愛する家族のあたたかい見守りと寛容によって生ききり、旅立って行ったのです。
今回のコラムは「あまりにも激しい易怒性を呈する病気の予後はあまりよくない」