パートを見下すな! 職場で正社員から理不尽な扱いを受けたときの対処法
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。
子育ても一段落し、再び外へ出て働かれているママのみなさん、お疲れさまです。
多くのみなさんはいわゆる“非正規”の立場で働いていらっしゃるかと思いますが、 職場で“正社員”の人から理不尽な扱いを受けて嫌な思いをされた経験 はありませんでしょうか。
「正社員同士なら、あんな言い方や怒り方はしないはず。パートのわたしを明らかに見下しているようで不愉快」と感じたことはないでしょうか。
筆者の野鳥観察仲間でもある精神科医のA先生は、『現在の労働現場にパートやアルバイトの立場で再登板しようというママは、正社員の冷たい態度の問題に、ある程度心の準備をして臨んだ方がいい』(50代女性/精神科医)とおっしゃっています。
A先生のお話を参考にし、筆者の実体験と元々の専門である経済思想史の視点も交えながら、職場で正社員からの理不尽な“見下し”に遭ってしまったときの心の持ち方について考えてみることにしましょう。
●1990年代後半を境にしてガラリと変わったわが国の“働く現場”の雰囲気
わたくしごとで恐縮ですが、筆者が慶応大学の経済学部を卒業して社会に出た1980年代の初めごろ、わが国の“働く現場”に「正社員だから」とか「非正規だから」といったような、雇用形態の違いによる身分の差別というものは存在しませんでした 。
最初に就職した企業は通商産業省(現在の経済産業省)管轄の政策銀行だったのですが、支店長も運転手さんも、正職員も用務担当のパートのおじさん・おばさんも、みな同じ職場で働く対等な仲間の関係だったのです。
筆者の記憶では1990年代の半ばごろまでは日本の職場はそういう感じでした。
80年代の後半に転職して勤務していたメーカーにはパートの工員さんも多く働いていましたが、会議もミーティングも社員と一緒でしたし、飲みに行くときも一緒。
また、社員より金額は少ないとはいえ、社長はパートさんにも「気持ち」と言って賞与を出していましたので、今の非正社員の人たちのようにやるせない疎外感を抱くことはなかった かと思います。
そして何よりも、パート勤務の20代・30代の工員さんたちが普通に結婚なさっていました。空気が一変したのは90年代の後半です。
相対的に国力が落ちるとともに平成不況が長引く中にあって、わが国の企業は社員全体に対して少しずつの我慢を等しくお願いするといった道は選ばずに、同じ会社で働く労働者を安定した身分の“正社員”と雇用の調整弁としての“非正規”に分けることで乗り切っていく道を選んだのです。