小学生バレーボール体罰 口止め誓約書を配る親の「罪」とは
そのような委縮させられる環境で8~9歳から12歳の小学生がバレーボールをしていたわけです。
■ドアとカーテンが閉められる......「今日は殴られるんだ」
私の大学の卒業生でバレーボール部員だった学生は「高校時代、殴られる日は、体育館のドアが全て閉められ、カーテンも全て閉められるからすぐ、あ、今日は殴られるんだなとわかります」と話していました。
「日本のバレーはダメだ」と言うので、私が10年前に読んだ本『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』(米虫紀子著)の話をしました。
ブラジルは今や男女ともに世界トップレベルのバレー王国です。育成は以下のようなコンセプトでやっていました。
14歳までの段階では、
・バレーをとことん楽しませて大好きにさせる
・ミニバレーでボールに関わる回数を増やし、ポジションはすべてローテーションでやらせる
・アタック専門、セッター専門といったポジションの固定をやらない
すると、その学生は目を輝かせて「だからですか!だからブラジルの選手はアタッカーでもレシーブが上手いんですね。セッターでもアタックができる。穴がないんです」と感心していました。
ところが、そのブラジルは、それらのメソッドを日本から学んだと言うのです。なぜ他国がそれを盗んで発展し、日本は以前より低迷しているのか。
「理由はわかります。日本は小学校のときからずっとアタッカーで、セッターはずっとセッターです。だから、アタッカーはレシーブが不得意なことが多いです。でも、エースアタッカーは自分以外の選手を下に見ていることがあったりします。決めるやつが偉い、ってなってる感じです」
学生はそう話してくれました。
スポーツ界、教育界が体罰根絶に舵を切ったのは、大阪の高校バスケットボール部員の自死した翌年の2013年から。
当時は「選手に愛情があればいいのではないか」「熱血なだけだ。私たちも叩かれて強くなった」と、暴力を駆使して鍛えてきた指導者をかばう意見が多数を占めました。
バレーボールでいえば、元全日本選手の女性タレントが「体罰がダメだとなれば、日本のバレーボールは弱くなる」と将来を憂いていました。
■大分県日出町の現実が日本のバレー界の縮図
(写真は少年サッカーのイメージです)
しかし、体罰指導がなくなったから、日本のバレーが弱くなったのではありません。
大分県日出町の現実が、日本のバレー界の縮図だろうと思います。