今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!? 自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと
その悪循環が突き進みすぎていると感じています。
――確かに。子どもたちを守ってあげたいという気持ちはわかりますが。それで社会に出て大丈夫かと心配になります。
生物の世界には生存競争があって、勝ち残らなければいけないという本能があります。少し前から「徒競走で順位をつけない」「サッカーでレギュラーを決めない」「成績をつけない」という動きがあります。サッカーで選手全員にチャンスを与えようという主旨はわかりますが、社会に出て全員が同じ条件で同様なチャンスが与えられることは100%ありません。
子どもの幼さを増長している要因のひとつは、大人がチャンスを強制的に与えるからだと考えています。
昔の部活では、部内の競争を経て18名のメンバーが決められ、そこからスタメンの11名を目指す。全員に与えられたチャンスを生かせるか、生かせないかは個人の努力や力で、その過程が子どもたちを成長させました。けれど、今の子どもたちはチャンスが過度に与えられることで競争する必要がない=無理やり成長をしなくて良くなっているのです。
■子どもが幼いのではなく、大人が幼い子どもを作っている
――プロとして活躍している選手たちの子ども時代はもっと大人だったと思いますか?
近年様々なジャンルでトップ層の子どもは考えがしっかりして成熟している子も多いと思います。サッカーでいうと、今、スペインで活躍している久保建英選手は18歳ですが、20年前の18歳に比べて格段と大人です。インタビューの受け答えなども、とてもしっかりしていますよね。勉強でも東大に入って「東大王」などに出ている子たちは、勉強だけでなく、幅広い知識や柔軟な発想が求められるクイズもできる。どの子も非常に要領が良くて、セルフプロデュースに長けているんです。
天が二物を与えた子がたくさん出てきている一方で、前述したように幼い子どもたちも増えているという状況です。
――同年代の子どもたちで差が出るのは、なぜでしょう。
今の子どもたちは自分で選択せず、大人が与えた環境の中で過ごしています。それは子どもにとって言い訳しやすい状況です。そういう状況を大人が用意し続けた結果が、子どもの成長を妨げていると感じています。
『親が出すぎる→過度な公平な機会を与える→順位を付けない→厳しくしない→成長しない』
そんな循環ができてしまっています。順位付けをしない、厳しくしないというのは、指導者からするととても楽なことなのです。