相手やボールとの距離感が理解できない小6、中学入学までに幅と深さの意識を身につけさせる練習を教えて
ゴール前にポストマンや二線目から走り込んだ選手がゴールする。そんなイメージが持てるようにしたいものです。
昔風にいえば「パターン練習」というのがあります。サイドに振って中に当て、逆サイドにまた振って折り返してゴールする。そんな練習です。それをすると、ひとつのパターンにとらわれてしまいます。
それよりも、原理原則を伝えてください。
広がると、こういうことが起きるでしょ?真ん中は、サイドに広がっているからこそ使える。
そんな柔軟な理解です。これを理解すれば、真ん中に入れると見せかけて、サイド使うといった相手を欺くプレーができるようになります。
■幅と深さを覚えるためにオランダが行うのは「5対2」
三つめのステップは、幅と深さを覚える練習です。
ひとりのプレーヤーが使うエリアを広くする。相手が寄ってきて狭くなったら、逆サイドにふる。そんな原理原則を学ぶために、オランダでは「5対2」を行います。
その際、横長の長方形のグリッドを使います。正方形が二つ横に並ぶ感覚です。
そこで、半分の正方形のなかで4対2をする、ひとりは逆の正方形で離れてポジションを取る。そんなイメージです。
例えば、ゴールに向かって左側の正方形のなかで4対2を始めます。左の端のほうに寄せるイメージです。そこから、スペースを広げておいた右にパスをする。右の選手がドリブルでゴールに向かっていけば、守備の2人のうちひとりが寄ってきます。その状態で4対1の数的優位になっているわけです。
ところが、6年生くらいになると反対に出せばいいと思うので、最初はすぐに逆サイドに蹴ったりします。
2人も中間守備のままで、サイドから逆サイドへ渡るだけになりがちです。
その場合はストップして、ゴールへ向かうなどして、相手守備をどちらかに引き寄せるのが重要だと伝えます。相手をしっかり引き付けてから逆に出す。その感覚を覚えてもらいます。そうすると、幅と深さが身につきます。
■スルーパスとサイドチェンジの両方を学べる練習
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
オランダのこの練習が面白いのは、例えば左に引き寄せて守備2人がくると、その間を通して逆サイドに出せばスルーパスのイメージになります。
一方、2人を引き寄せ、その外側から逆サイドにパスをすれば、それはサイドチェンジのイメージになります。