勝てば何でも良いだろうという考えではその先に繋がらない、新生・流経柏がU-12を立ち上げた理由
と気付き、修正することで上達していったそうです。
大人がこうやって話なさいと対応を教えるのは簡単ですが、選手の成長に繋がりませんし、本音ではない仮面と言える言葉を褒められても意味がありません。
「最初は『アイツ口の利き方が悪いな』と思われてもОKだと思うんです。記者の人が聞きたいのは本音の部分。言葉が足りなくても、『この子はこんなことを考えているんだ』と分かる方が良いじゃないですか。松原がプロまで届いたのは、そうしたインタビューも含めて自分で成長したから。プロの練習に参加したら随分大人びて帰ってきたなと思うくらい成長していました」
■流経柏がU-12を発足させた理由
選手との関係性を見直し 、コミュニケーション能力の向上に力を入れ始めた昨年に続き、今年の春からは、また新たな取り組みも始めました。これまで3種年代の下部組織として活動しているクラブ・ドラゴンズ柏U-15に加え、U-12も発足させたのです。
監督には、流経柏のGKコーチ、ジェフユナイテッド市原・千葉のスカウトを歴任した稲垣雄也氏が就任し、これから活動を本格化していきます。U-12を立ち上げた理由について、榎本監督はこう話します。
「1種から4種年代まで持っているJリーグのアカデミーはあっても、学校組織がベースとなっている組織はない。選手が育っていくためには、教育が根幹にあるのが大事だと思うんです。流経が好きで、組織を良くしたいと思ってくれる選手を一人でも多く育てたい」
流経柏高校サッカー部の榎本監督(右)は、「流経が好きで、組織を良くしたいと思う選手を育てたい」と語ります(C)森田将義
就任にあたって、稲垣監督は「今回ジェフを辞めて流経に戻ってきたのは、相応の覚悟を持ってきたつもり」と話す通り、並々ならぬ想いで小学生の指導に当たります。
「日本一を目指している大学や高校の選手を見ていると、上に行くために必要な勝者のメンタリティーを持っている。同じような組織になるために、強豪ではなく結果でも育成でも突き抜けるのがテーマ。Jクラブが街のシンボルであるように、街クラブがシンボルにもなれると思っています。
Jクラブにできて、街クラブにできないことはない」
■チームの雰囲気や場所が選手のマインドを変える
稲垣監督は流経柏のコーチをしていた時代に、ピッチ外で頼りない選手もいざ流経柏のユニフォームを着れば、キリっと表情が変わり、勇敢に戦う姿が印象に残っていると話します。