勝てば何でも良いだろうという考えではその先に繋がらない、新生・流経柏がU-12を立ち上げた理由
「感じたのはチームの雰囲気や場所が選手のマインドを変えるということ。スカウト時代も含め色んなチームを見させてもらいましたが、簡単なことではなく、一番難しいことなんだと感じました。勘違いとギリギリのラインだと思うんですけど、ユニフォームを着ただけで強くなったと思えるのは凄い。それはどの試合や練習でも負けてはいけない、勝ちに拘るんだという所から生まれる物だと思うんです。僕自身、みんなが格上と思うチームが相手でも『負けるわけがない』と思っていました」。
そうした勝者のメンタリティーとも言える心を持った選手を育てるのが、クラブ・ドラゴンズ柏U-12のテーマです。
■サッカーの理解度は、自立した心や自分自身での工夫が必要
ただ勝負に拘るのではなく、選手育成との両立を図るのもクラブ・ドラゴンズ柏U-12が目指す方向性です。
「選手を上のステージに引き上げようと考えると勝てば何でも良いだろうという考えでは、その先に繋がりません。
勝利と育成の両方を目指さなければいけない。育成に拘っているから勝利を度外視するのは、指導者の逃げだと思うんです。ゴールを目指して、ゴールを守るスポーツというサッカーの本質はしっかり伝えていきたい」。
稲垣監督は指導者、Jリーグのスカウトとして多くのプロサッカー選手と接する中で、能力任せでサッカーをしていては上手くいかない選手が多いと感じていました。一流の選手が超一流に、二流の選手が一流になるためには、サッカーへの理解度が重要です。そのためには、自立した心や自分で考えて工夫できる力がないといけません。
■自分の強みを持てる選手を育てたい
目指すスタイルもこれまで多くのタレントを輩出してきた流経大柏と稲垣監督だからこその考え方が伝わります。
「サッカーは11人でやるスポーツ。
強い選手もいれば、上手い選手もいりますし、汗をかける選手も必要です。自分の強みを持てる選手を育てていきたい。チームに個が合わせるのではなく、個を活かせるようなチームにしていきたい。チームとしてのサッカーに拘り過ぎると『こういうサッカーをするとこういう部分は良くなるけど、これはできないよね』と、他のチームに進んだ時に選手が苦しんでしまう。それに、特定のスタイルが良いと保護者が勘違いしてしまう危険性もあります。バルセロナやマンチェスター・シティのサッカーは素晴らしいけど特殊です。