2021年4月19日 15:30
「失敗してよかったね」というコーチの言葉が子どもを成長させる。保護者も共感のその理由とは
ただ、と一場監督は付け加えます。
「保護者の方は心配になるみたいです。こんなにボロ負けして、このチームは弱いんじゃないかって(笑)。そこで僕が理由を説明して納得してもらうのですが、5、6年生になると、ボロ負けした相手に勝つようになります。それはフォレストの取り組みを通じて、サッカー選手として、人間として成長していくからです。子どもたちは目先の勝ち負けに一喜一憂してもいいのですが、僕たち指導者は、子どもの将来を見て指導することが大切だと思っています」
サッカー選手として考えると、ジュニア年代はゴールではなく通過点。結果が出るのはもっと先です。さらに言うと、プロになれる選手はほんの一握り。
99.9%の子どもたちはサッカー経験を胸に、社会人としてプロサッカー選手以外の仕事につきます。
「僕たちは、子どもたちが社会に出た時に、立派な社会人になって、ゆくゆくはサッカーに貢献してほしいという想いで、小学生年代の指導に関わらせてもらっています」
■「失敗してよかったね、そこから何が学べる?」というスタンスに保護者も共感
フォレストの保護者の多くが、その考えに賛同しているようです。子どもたちや保護者は、一場監督を始め、コーチのことをニックネームで読んでいます。それはクラブ側から働きかけたもので、コーチが教え、子どもが教わるという上下関係ではなく、ともに学び、成長していく仲間なのだという考えがもとになっています。保護者の方々は、こう言います。
「最初は『てっちゃん』(一場監督のニックネーム)って呼んでいいの?って感じでしたけど、いまはフレンドリーに呼んでいます(笑)。周りには『ザ・サッカー』という、昔ながらの根性をベースにした指導のチームが多い中、サッカー選手としてだけでなく、将来のことも考えて指導しているところに共感しました」(Aさん)
「誰かに言われてやるのはできるけど、言われる前に自分で考えて行動するのは、大人でも難しいことですよね。それは小さい頃からの積み重ねなのかなと思います。
私は小さい頃から体育会系で育ってきて、コーチに言われたことをやるという考え方でした。子育てをしていても、子どもに次はこれをやって、あれをやってと言っていたのですが、フォレストに子どもを入れて、てっちゃんの考え方を聞く中で、そうではないんだなと考え方を変えてもらいました」(Bさん)
「フォレストの子どもたちは、いきいきとサッカーをやれているのでいいなと思います。