「無難にこなせる」も立派な長所! トレセン歴がない選手を磨いて約30人のプロを生んだ強豪サッカー部監督が語る長所の定義
7.精神的に戦える(精神面)
8.全国で勝てる自主練習ができる(想像力)
9.基本練習を実践的に自ら難しくできる(想像力+責任感)
10.素直である(一流選手たる条件)
こうした掲示物を見ると、サッカーの基本は大きく変わっていないのだと思います。サッカーは進化していると口にする指導者がいますが、ボールを出したら周りを見る意識や、チャレンジ&カバー、ラインの押し上げは大昔から変わらないサッカーの本質です。
サッカーの本質が大事と表現しますが、全てが本質なのです。本質を強調しなければいけないのは、本質を抑えていない指導者が増えているからではないでしょうか。
■1つの技術だけでなくサッカーに必要な要素をすべて教えること
ドリブルスクールのように一つの技術を切り取って教えるのも間違っているように思います。他のスポーツでは一つの技術に特化したスクールがあるなんて話は聞きません。
同じ野球でも野手とは別種目に近いピッチャーですら、専門のスクールはないのにサッカーにだけ存在するのは不思議です。ラーメン屋に例えるなら、スープにこだわりながらも麺はスーパーで売られているのを使っているような店は繁盛しないのと同じだと言えるでしょう。
チャーシューなどの具材だけではなく、器までこだわる店には敵いません。
1つの技術だけでなく、サッカーに必要な要素を全て教えなければ、良い選手に育たないのです。テクニカルなチームが、なぜドリブルの練習をたくさんしているのか意図すらも理解できず、型だけを真似している指導者が多いように思います。
■必要な技術はどの年代でも同じ
野球の練習法は日本全国どこに行っても大きく変わりません。それ以上の練習方法がないと行きついているから、30年前も今も同じ練習をしているのです。日本サッカーはまだ行きついていないから違いや流行り廃りがあると考えています。ジュニア年代に応じた練習メニューが提唱されたりもしますが、必要な技術はどの年代でも同じです。教えるべき技術を幼少の頃から、きちんと徹底して指導すべきです。
※この記事は「常に自分に問え! チームの為に何が出来るか 立正大淞南高校の個とチームの磨き方」(竹書房・刊)より抜粋したものです。
南健司監督