贈り物をする親の子をえこひいき。暴力暴言もあるコーチを何とかしたい問題
保護者の方は一瞬黙って「は?そんなん、仮定の話でしょ?」と焦ったようにおっしゃいました。ところが、その方は数か月後、ご自分から私に電話をかけてきました。コーチの暴力によって、お子さんは鼓膜が破裂したそうです。鼓膜破裂は自然治癒しましたが、その子はその間中耳炎になり長くサッカーも運動もできなくなった。結局チームを辞めたということでした。
■「大したことではない」親が暴力やパワハラを容認する理由
親御さんたちは「少年サッカー(少年スポーツ)例外主義」になっていないでしょうか。暴力もパワハラも「サッカー(スポーツ)の現場では仕方がない」と考えているようです。それは親御さん自身が、部活やスポーツの指導で暴力やパワハラを受けていることも影響しています。
特に、そのようなひどい環境を生き抜いた方は、暴力等を潜在的に「大したことではない」と受け入れがちです。自分も耐えられたから大丈夫、と軽く考えてしまう。これは「生存者バイアス」と呼ばれるものです。
仮に、1から7のような暴力(体罰)が、もし通う小学校の担任によるものだったら、どう対応されるでしょうか。担任に贈り物をしている家庭や、親が学校の役員をしているからと、担任が通知表に良い点を付けたり、劇の主役にされるなど優遇されたら、どんな気持ちになるでしょうか。
保護者の方によく言われるのが「学校の先生ではなく、何も勉強していないボランティアでコーチをしている方にそこまで求められません」というものです。一見すると「まあ、そのくらい勘弁してあげようよ」と寛容に見えますが、ボランティアで指導しているコーチの方々に失礼な気がします。
■暴力暴言、えこひいきはやってはいけない。今すぐ親にできる対策は
(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
お母さんは「子どもたちへのフォローの言葉などもあれば知りたい」と書かれています。でも、そんな言葉はありません。「コーチは暴力をふるうけど、あなたのことを思ってやっているのよ」などと絶対に言ってはいけません。暴言も、暴力も、えこひいきも、やってはいけないこと。本当にフォローしたい(支えたい)のならば、チームはすぐにやめさせましょう。
中学生までもう少しです。サッカースクールがあるのなら、そこでの活動のみに絞り、楽しく真剣に続け中学校でまたチームに入ればよいのではないでしょうか。
そして、コーチの暴言や暴力、理不尽な運営の仕方については、日本サッカー協会の相談窓口にきちんと報告しましょう。