パスを受けた後の動作がもたつく子どもたち、いい状態でボールを受けるための指導を教えて
ゴールをそれぞれ2つずつ置くと、左右のゴールどちらを目指してプレーするかといった選択肢が生まれます。そんなトレーニングのなかで、子どもたちに問いかけます。
「左から右に行こうと思うと、どんなふうにすると速く行けますか?」
そんなことを考えてボールを受ける、相手をかわすといったことを課題にします。そんなことを仕組んでおけば、その子なりの身体の向きを見つけられます。
それなのに「こうすると全体が見えていいでしょ」と日本では教えてしまいます。そうではなく、子どもが自分で考えて発見して実践したほうが、自分のものにするスピードは絶対的に加速します。
「そのプレーの前に、そこ見てましたか?」
「右も見えるようにするためには、どうしたらいいかな?」
問いかけて、考えさせる。
私が常に指導者の皆さんに伝えていることです。
■スペインの名門、ビジャレアルで行う幼児への指導
スペイン在住の佐伯夕利子さんが日本に住むわれわれに伝えてくれた、ビジャレアルの幼児の映像があります。驚くほどスムーズにパスがつながります。あのように視野をつけ、身体の向きを見つけてもらうには、プレーする子どもたちの頭の中をコーチはのぞきながら指導しなくてはいけません。
「今、何を考えてプレーしたの?」
「今、どこみてたの?」
そうやって問いかけると、その子が何か考えてプレーしていたのか、何も考えていなかったのかがわかります。
「ゴールが右と左にあるよね。両方をみていると、どちらにいけばいいかがわかるよ」
そう話した後で、両方のゴールを見ていたけれど、ボールをもらう身体の向きが悪かったり、最初にコントロールした場所が適切でなかったりしてプレーが遅くなり味方にパスできなかったとしましょう。そこで初めて「早くプレーするためにどんな体制?どこでもらう?」と核心に触れるのです。
ミニゲームや練習の中で身体の向きを指導する時に、フリーズをして、コーチがパス出すからねと、やってみる。
よく言われる「切り出し」の練習です。課題を切り出して練習します。そこを通過したら、次はミニゲームで試してみます。ただし、切り出しの練習は、そのスキルが確実にできるようになるまで続ける必要はありません。数回やったら、すぐに実践練習に戻します。
そのなかで似た場面が出てきたら、どこかのタイミングで「それ、さっきやったよ」と声をかけます。