ブンデスリーガ、マインツが「技術レベルが高くても内面が未熟な選手」は獲得しないワケ
最終的に私たちはその選手の受け入れをあきらめ、ベルリンへと送り返すことにしました」
■選手を知るとき、両親もチェック
家庭でどのような価値観を大切として育ってきたのか。それが選手それぞれの基盤として備わっている以上、クラブとしてもそれが自分達の価値観とあうかどうかをとても注意深くチェックするといいます。
シュースター「興味深い選手がいるとその子と個人的に知り合う機会をまず持つわけですが、その時には両親も一緒に来てもらいます。学校やスタジアム、練習場や寮施設などを紹介しながら周りますが、その際に両親についての詳細を知るためにたくさんの話をするようにしています。
例えば学校に行くと学校にはマインツとコンタクトを取ってくれる先生がいます。学校生活における話をして、それも含めた生活が彼に合っているのかどうかを話したりします。それからクラブでは普段の生活についての話をします。
スポーツ面でもそうですね。
スカウトや監督、コーチとも話をしてもらいます。選手の長所と改善点を話したうえで、マインツのクラブ哲学とコンセプトを理解してもらわなければなりませんから。
『どの話の時にどんな反応をするのか』『どんな質問をしてくるのか』
私たちは子どもや両親が示す反応をつぶさに観察しておきます」
■技術レベルが高くても内面が未熟な選手は獲得しない
新選手獲得に関しては誰かの決断に依存しないようにするのが大切だとシュースターさんは強調していました。
学校関連の担当者、教育担当チーフであるシュースターさん、そしてスポーツ面を精査する育成ダイレクターと3者がそろって「この選手はマインツに合う」と認めて初めて、獲得が決断されるといいます。
それぞれの専門分野から選手を観察し、チェックし、それをもとに協議して決める。そうすることで獲得してから「こんなはずじゃなかった」と互いに嘆くことは相当少なくなったそうです。
シュースター「それこそピッチ上でのプレーだけを見るとものすごいスピードがあって、技術レベルも相当に高い14、15歳の選手だったとしても、スタッフとのやり取りでこちらの目を見ない、何を聞いても『はい、はい』としか答えない。頭の中は10~11歳くらい。
とても自分のことを自分でやれるように成熟しているとは言えない。そうなると獲得には動きません。
プレーレベルが高いから即獲得とはできないんです。