スクールのみでチームに所属してない子、対外試合の経験が積めない弊害はあるのか教えて
親たちは公式戦と練習試合の違いが気になると言うのです。当然ながら、練習試合よりも公式戦のほうが緊張感など多少異なる部分はあります。
しかしながら、試合を経験して成長する、うまくなるといったプロセスは、練習試合でも公式戦でも同じです。言葉を選ばずに言ってしまえば、こと小学生の試合ではそんなに変わりはないと思います。そのコーチも、その週の公式戦に出られなくても、次の週に行う練習試合に出られれば同等の経験を積めますと伝えています。が、親御さんの感覚は違うようです。
子どもはどんな試合でも勝ちたいものです。勝ちたい気持ちは育てなければいけないと私も思います。
とはいえ、見守る大人たちは、試合を経験する意味を子どもたちとは違うところでとらえてほしいのです。負けて悔しがるのも、悔しくて泣いてしまうのもいい。しかし、親も含めて落胆し暗いムードのまま帰宅する。もしくは親のほうが子ども以上に悔しがって、子どものミスを責めたりするような状況になってはいけません。
■その子が通いたいと思える別のチームを探してみたらいい
もうひとつ「定期的な対外試合ができない弊害はないか?」という質問です。この「定期的」の尺度がもしかしたら皆さんは頻度が多すぎないでしょうか。
私が主宰しているクラブでは、月に1回ないし2回しか対外試合をしません。日本の子どもは忙しいです。
月2回で十分です。土日のどちらか半日で終わらせ、どちらかは休みにしています。そのやり方でも、子どもたちのスキルはどんどん上がっています。今では多くの指導者が「楽しいほうが伸びる」とおっしゃいます。そう考えるのなら、毎週試合をやらなくてもいい。練習も週2回で十分です。
ご相談文にあるこの小学3年生は、別のチームを探してみたらいいと思います。そして、その子のように、コーチの声がうるさいからいやだとの理由でクラブを去るケースはこれからも出てくるかと思います。
パワーハラスメントなどを多くの人々が理解する時代になりました。どちらかといえば、指導者ら「中の人」が敏感でなければいけないのに、保護者や選手など「外の人」のほうが鋭いのが現実のようです。ご相談者様のクラブは、一度コーチで話し合いする必要があるかと思います。
どんな人がクラブを立ち上げたのかわかりませんが、立ち上げた人の思いが反映されているのかなど、一度検証が必要です。時代とともに変化しなくてはいけないことと、変えてはいけないことがあるはずです。