公式戦が始まるまでに「どんな時に何を見てプレーするか」を理解させたい、お団子サッカーから視野を広げる方法を教えて
受け持っている3年生がボールに寄って行きがちなので、団子にならず「サッカーの形にしたい」と考えているのですね。低学年からでもダンゴにならない指導を含め、この連載でも視野の確保や広がって攻めることについてさまざまお伝えしています。最後のほうで紹介するので、ぜひチェックしてください。
■意識するということは「見る」ということ
つい数日前のこと、あるところで小学4年生を指導した際にこんなことがありました。およそ100人の子どもたちを一度に見る状況で、午前中は5対5のゲーム形式で練習をしました。キーパーも入って、後ろからビルドアップすることに注目してやってもらいました。
そして、午後からはまず5対2で鳥かごをしてもらいました。ボールは2つ。
どのグループもミスが続出しました。ボールが2つあるので、同じ人にパスが重なったり、ボールがぶつかったりしました。
「ボールは2つあるから、ボールを意識して。意識するということは"見る"ってことですよ」
そんなアドバイスをしながら、各グループを回りました。始まってしばらくしたら、私は笛を吹きました。
「次はボールを1個にしてください。ただし、パスはダイレクトで回してください」
すると、子どもたちは「え~っ!」と大声で叫びます。それに構わず私は「あれれ?君たち、ダイレクトパスを知らないの?え~っ!」と驚いてみせます。
子どもたちはびっくりしたり、苦笑いしながらボールをひとつ減らしてパスをダイレクトで回し始めました。
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■ダイレクトのパス回し指導は止める蹴るを鍛えるためではなく、周りを見れるようにするため
すると、どうでしょう。見ていたほかのコーチたちが「子どもたち、顔が上がっていますね」と目を丸くしていました。ダイレクトで回すという制約をつけられると、子どもたちは渡されたパスをすぐさま味方にパスしなくてはいけないため周りを見るようになります。結果、顔を上げるようになるのです。ダイレクトにうまく渡せなかったとしても、その瞬間周りを「見よう」とします。
このことに気づいていない指導者は少なくありません。ダイレクトでパス回しをさせるというオーガナイズを、止める蹴るといった足元のスキルと思っているのです。
私がここでパスをダイレクトで回させたのは、決してダイレクトパスの練習ではありません。