サッカーで必要な思考力や判断力の育成を阻む「ヘリコプターペアレント」にならないための注意点
経験したことしか、自分の人生の自信にはなりません。いくらインターネットで見たり、本で読んでも、経験しないと自分のものにならないんですね。だからこそ、その子がチャレンジする環境を作り、ときには失敗を経験させることも必要だと思います」
■監視と見守りの違い
ヘリコプターペアレントの行動は、名称の由来どおり「監視」に近いものです。大切なのは、子どもを監視するのではなく、見守ることです。
あさくらさんは、監視と見守りの違いを、次のように説明します。
「コンビニに監視カメラがついているのは、万引きの防止のためです。つまり、店員がお客様を信用していないから、カメラで監視しているわけです。一方で見守りは、安全な状態かどうかに注意を払うことです。
つまり必要なときに手助けをするのが、見守りだと言えます。だから親御さんには『監視ではなく、見守る』スタンスでいてほしいです」
■失敗した時に「お母さんが言ったからだ」と他責な考えの子にしないために
見守り、必要な時にそっと手を差し伸べる。それが、理想的な関わり方です。しかし「必要な時」を見極めるのは難しいもの。
その見極め方をあさくらさんはこう言います。
「大人が先回りして手助けするのではなく、子どもの方から『お母さん、助けて』と言ってきた時に、対応するのが理想的です。カーナビに例えると、間違った場所に着いてしまったら、それは住所を入力した人の責任ですよね。同じように、親御さんが細かく指示ばかり出していると、お子さんは指示を待つようになり、その結果、失敗したときに、『自分は悪くない。
お母さんが言った通りにしただけ』という他責思考になってしまいます」
■他責思考ではサッカーでも伸びない
(C)たむらさいか
このような考え方のクセがつくと、困ることがたくさんあります。
サッカーのプレーで言うと、コントロールミスしたときに、他責の人は『何でそんなところにパスするんだ、お前が悪い』となり、自責の人は『パスをうまく受け取れなかった自分が悪い』と考えます。どちらの考え方が、子どもを成長に導くのでしょうか?
それはもちろん「自責思考」です。自責思考を持つことで、自分の成長に焦点を当てることができます。
サッカーの現場では「自分に矢印を向ける」という言葉がよく使われていますが、これはまさに「他人に原因を向けるのではなく、自分ができることを考えよう」