2018年12月10日 09:00|ウーマンエキサイト

インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法【ママ女医HALの子育て日和 第5話】

ママ女医HALの子育て日和

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Twitterでも人気! 内科医で子育て中の相川晴(HAL)さんが、ご自身の妊娠・出産・育児の日々の体験から、医学的なエビデンスを交えて女性の健康・育児情報などをつづります。

だんだん寒くなってきました。そろそろお子さんがいるおうちでは、鼻がずるずるいいはじめたり、幼稚園、保育園などで「インフルエンザの子がでました」なんてお知らせが出ているところもあるのではないでしょうか。

冬にはさまざまな感染症が流行ります。今回は、特に流行りやすく注意してほしい子ども(と大人)の感染症の話をしたいと思います。
インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法

イラスト:鈴木し乃


この記事の著者インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法【ママ女医HALの子育て日和 第5話】
■相川晴(HAL)

内科医。研修中にうつ病を発症し、数年間の療養生活を経て復帰。病気の間支えてくれた医師の男性と結婚。某地方都市で夫、4歳の娘と暮らす。自身の出産・育児の日々をもとに、医学的なエビデンスを交えて女性の健康・育児情報などをブログやTwitter、連載コラムで発信中
https://twitter.com/halproject00



インフルエンザ

インフルエンザは大人も子どももかかりたくない冬の感染症の代表格ですね。
インフルエンザウイルスに感染してから1~3日程度の潜伏期間があったのち、38度を超える発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛や関節痛といった症状が突然現れるのが典型的なインフルエンザです。それから上気道炎の症状(咳や鼻水など)が出て、大体1週間程度で治ります。

普通の風邪とわけて考えたいのは「重症化しやすい」ということ。

特に幼い子どもや高齢者、妊婦さん、基礎疾患がある人は重症化しやすいことで知られています。二次感染を起こしたり、中耳炎や急性脳症といった合併症を引き起こすこともありますので、乳幼児をはじめとしたハイリスクの方々には特に「予防」に気をつけてほしい感染症ということになります。

感染性胃腸炎(嘔吐下痢症/ウイルス性胃腸炎)

いわゆる「嘔吐下痢」です。それまで元気にしていた子供が突然げろっと吐いて、びっくりした親御さんも多いのではないでしょうか。娘も1歳の時に、突然テレビ台の前で吐いて、てんやわんやになりました…。

冬場に流行する感染性胃腸炎の原因としてはノロウイルスが有名ですが、他にも様々な病原体によって引き起こされます。ウイルスが原因の事が多いので「ウイルス性胃腸炎」ということもあります。年が明けて春にさしかかるとロタウイルスによる感染性胃腸炎が増えてきます。


症状は病原体の種類によって差があります。ノロウイルスの場合、1~2日程度の潜伏期間があったのち、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛などの症状が出現します。
体力のある大人はあまり大ごとにならないのですが(いえ、もちろん発症すると数日はかなりきついですが)、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は脱水に注意が必要です。
特にロタウイルスは乳幼児に脅威。ひどい下痢から脱水を起こし、場合によっては死にいたることもあります。

特に3ヶ月未満の赤ちゃん、吐いたものの色が赤・緑・黒色、激しい腹痛、右下腹部痛(とくにみぞおちから移動したものは注意)、便の色が赤・黒色……といった場合には、単純な嘔吐下痢ではない可能性があり、受診が必要です。脱水がひどい場合も点滴の治療が必要になりますので受診をしてください。

RSウイルス感染症

もう一つ、お子さんをお持ちの方に気をつけてほしいのがRSウイルス感染症です。

感染して4~6日程度の潜伏期間ののち、鼻水や発熱、咳が出てきます。大人や少し大きくなった子は、大体このちょっとした風邪で回復するのですが、乳幼児は注意が必要です。
大体7割程度が1歳までに一度は感染しますが、初めて感染した際、1/3は肺炎や細気管支炎といった気道の奥の方(下気道)まで感染が広がり、ひどい咳や喘鳴、呼吸困難を起こし入院が必要になることもあります。中耳炎を合併する事も多いです。

近年、RSウイルスは少し流行のピークが前倒しになる傾向があり、今年(2018年)も12月現在、もうすでに流行のピークは過ぎています。しかしまだ報告はありますので、小さいお子さんをお持ちの方は引き続きご注意ください。

基本的な予防法

インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法

イラスト:鈴木し乃


これらの感染症は、「飛沫感染」「接触感染」で感染します。
ですので、基本的な予防法としては

●手洗い、マスク
●人混みを避ける
●風邪の症状がある人にはできるだけ近づかない


といったことになります。

「接触感染」に関していうと、特にトイレは要注意。前に使った人が感染性胃腸炎にかかっていた場合、あちこちにウイルスが付着している可能性があります。トイレの後の手洗いは念入りに。食品を扱う前にも必ず手洗いをしましょう!

ただ、小さいお子さんにはマスクの付け外しは難しいですし、可能な範囲で手洗いをしてあげる&教えてあげる事が重要かなと思います。
インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法

© polkadot - stock.adobe.com


また、家族から感染する事も多いので、ご自身やご家族がかからないように予防を頑張るというのも大切な事です。栄養があるものを食べる、睡眠をとる…などをこの時期は普段以上に心がけるのがいいと思います。

大人にとっては軽い風邪の症状でも、実は上記の感染症である事があります。特に乳幼児のいるご家庭では、風邪っぽい時にはマスク&手洗いをしっかりし、可能な限りお子さんのお世話を他のご家族などに任せるようにして(実際にはそれが難しいのですが……)、家庭内でお子さんにうつさないようご注意ください。


幸いにしてインフルエンザにはワクチンがあります!
インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法

© gamelover - stock.adobe.com


もうすでにインフルエンザの患者さんがどんどん出ていますが、ワクチン、まだ遅くありませんよ! 流行の本番はこれからです。
ワクチンは発症自体を予防する効果もありますが、重症化を防ぐ効果もあります。我が家も娘が1歳の時にインフルエンザをもらってしまったのですが、ワクチンをうっていたからか、発熱もひどくならず、数日で元気になりました。ワクチン大事です。生後6ヶ月から接種可能です。我が家も家族全員、毎年しっかり接種しています。
妊婦さんもインフルエンザワクチン、接種できます。ワクチンを接種することで生まれてくる赤ちゃんにも、胎盤を通してインフルエンザの抗体をプレゼントしてあげることができます。
妊婦さんは重症化しやすいので、ぜひご検討ください。

(赤ちゃんへの移行抗体の話は、手前味噌ですがこちらを参考に)
妊娠中のインフルエンザワクチン接種は生後6か月までの赤ちゃんにも効果があります。
生後2ヶ月のワクチンデビューにロタウイルスワクチンを
インフルエンザ、胃腸炎、RSウイルスなど、冬に気を付けたい感染症の症状と予防法

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また、感染性胃腸炎を起こす原因の一つ、ロタウイルスについてもワクチンがあります。ロタウイルスは感染力が非常に強く、ワクチン以外の予防は困難です。重症化すると、ひどい脱水から死にいたることもあります。
ロタウイルスのワクチン(口で飲む甘いシロップです)は生後2ヶ月から使う事ができます。まだ定期接種になっておらず、高価ですが、ぜひおすすめしたいワクチンの一つになります。助成のある自治体もありますのでご検討ください。

大変駆け足になりましたが、冬に気をつけたい子ども(と大人)の感染症の話でした。

流行するタイプの感染症は感染力が強く、また小さいお子さんは手洗いなども上手にできませんし、手でもなんでも口にいれますので、どうしてもどこかで病気をもらって来がちです。
周囲でインフルエンザなどが大流行している時期は、人が多い空間を避けるというのも一つの予防法になります。
どうか今年の冬、みなさんがいろいろな病気をもらわずに、そしてもらっても軽く済むことをお祈りしています。頑張りましょう!


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