上野千鶴子「男とか女とか関係なく、ただ、自分らしく自由に生きたい」
逆に言えば、自分を解放できるのは他人ではなく、あなただけなんです。
自分を優先して生きる、そんな女子が増加中。
’19年の東大の入学式で、私は入試における女性差別や#MeToo運動、そして東大内のジェンダーギャップに触れながら祝辞を述べました。いろんな反応をいただく中で目立ったのが、40代女性たちの声。彼女たちは、男を立て、子育てを優先し、自分を後回しにする〈女らしさ〉を強要する“オヤジ的社会”で、それに適応しなんとか生き延びてきた人たち。祝辞を聞いて、「私は悪くなかったと気づいて号泣した」というメッセージをたくさんもらいました。一方で10代の若い子ともオンラインで交流していますが、その世代の女子は、男が女より優れているとは全く思っていないし、不当な差別にガマンする理由がないと思っている。〈女らしさ〉の美徳が「他者ファースト、自分セカンド」とされる日本で、“自分ファースト”な娘たちが大勢育ったのは歴史上の快挙です。
そしてそんな娘たちを育てたのが、今の40代、50代の女性。みんな歴史に貢献しているんですよ。うえの・ちづこ社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。