きれいな別れ方と汚い別れ方のちがい ~『バイバイ、ブラックバード』に学ぶお別れの作法~
主人公の見張り役として、繭美という、身長が190センチ、体重が200キロの自称ハーフの女性が同行します。彼女は歯に衣着せぬ物言いで、いつも辞書を持ち歩いています(ちなみにその辞書のなかでは、「気配り」、「愛想」、「同情」の語が塗りつぶされています)。
そして、彼に別れを告げられる女性たちは、とっても魅力的です!ある女優は、浮気は認めても、別れることには最後まで納得しません。
ある天真爛漫な女性は、趣味がなんと泥棒です。黒いつなぎを着て、肩をロープでぐるぐる巻きにして、バーゲン会場に忍び込もうとする子でした。彼女は逆に、別れを告げられても「じゃあ、星野っち、さよなら。わたし、それどころじゃないの」と言い放ち、また泥棒に行こうとする……(笑)。
でも、5人全員とも、けして彼のことを罵倒したり、悪口を言ったりもせず、どこか希望がみえる素敵な彼との「お別れ」を迎えていたことに、私はとても驚きました。
星野一彦は、たしかにとんでもない浮気魔だけれど、ウソをつくことも計算することも全然できなくて、いつも真剣に全力で相手と向き合っていました。それがちゃんと、伝わっていたのだろうな、と思います。