学校の400m圏内にファストフード禁止。ロンドン市長が決断した、肥満と戦うための大胆かつ手荒な手段
研究家たちは「食にまつわる環境やシステムの変化」がその大きな原因だと捉えており、具体的には消費者が手軽に安価で高脂肪な食品を手に入れられるようになったこと、そしてそれらの商品のマーケティングに影響されていることだとしている。
貧困コミュニティに密集するファストフード店
「貧困コミュニティに集中するテイクアウトの店が、食生活の不平等を引き起こしているのではないか」と同研究所のパブロ・モンシヴァイス博士は、そう指摘する。実際にイギリス国内において、低所得者層の人々が暮らす地域では、経済的に豊かな人々の住む地域に比べ、約5倍のファストフード店が存在するという。例えば、ロンドン市内にある学校から400メートル圏内でのファストフード店の平均数は6店舗だが、それに対し、低所得者層の人々が暮らす地域では、8店舗以上。一方で、富裕層の地域では2店舗未満だ。
大切なのは、自分で選び、決められるということ
そもそも「健康に悪いから」という理由で禁止されるだけで、人々の行動はすぐに変わるのだろうか。ロンドンの例にしても、この対策で改善を実現しようとする一方で、年々ファストフード店は増え続けるばかりではなく、様々な新しい嗜好品は魅力的な宣伝と共に、絶え間なく消費者の目の前へ送り出されてくる。