「政府の対応を待っていたら、みんな死んじゃう」。“ときに危険を伴う呼吸の二面性”を芸術で発信する女性
家族、恋人、友人、隣人の死。 たえがたいその事実が、「本当は防げたかもしれない」と知ったらあなたはどうするだろうか。
「静かなる時限爆弾」の存在を知っていますか?
人間は1分間にほぼ18回の呼吸をする。 私たち人間は「呼吸」なしでは生きられない。当たり前すぎて、普段は意識もしていないかもしれない。 でも世の中には呼吸をすることも困難で、苦しんでいる人々がいる。
多くの社会問題にいえることかもしれないが、解決には消費や労働の中心を担う若者の参加は不可欠だ。しかし、アスベスト問題のように、苦しんでいる人々が高齢者であるとなかなか自分ごととなりにくいのも事実。
だからこそ、野口さんはオイリュトミーという「芸術」の形をとった。同時にそれは彼女が楽しめて、続けられることでもあるから。個人が長期的に社会問題と向き合っていくうえで、自分が続けられるか、楽しめているのかというのはいたって重要な要素である。
私が一番初めにアスベスト問題に興味を持ったのは「尼崎のアスベスト疾患 患者と家族の会」の冊子がきっかけでした。でも高齢の方が多いから彼らのウェブサイトはあんまり機能していない。それで会の拠点である大阪へ実際に行って話を聞いたりしたことが自分にとっては発見が多かったです。