人は集団のなかにいても「寂しさ」を感じる。「群集」をテーマに絵を描く男に聞いた、自分との向き合い方
今の社会を生きていくなかで「集団」というものに身をおくことは避けられない。特に、学校生活で「集団行動」が重んじられやすい、小中高時代は。その後大学などの学校に進もうと、働くようになっても似たようなことは多かれ少なかれ続いていく。社会で生きていくということは、何らかの形で「集団」と関わっていくことのようだ。
絵を描いて生きていこうと決めていたけれど、あんまり覚悟については考えていなくて、行動するので必死だった。特に壁画を描いていたときは、ほかの人は依頼を受けて描いていたかもしれないけど、自分の場合は依頼が来ないから「壁に描かせてください」って聞いて、yesかnoの返事で決まる感じだった。そんなことを海外で度々繰り返していて、描くことに集中していたから自分の作品の概念とかはそんなに気にしていなかった。ただ制作するうえで妥協できないところはあったし、絶対仕上げるということは自分のなかで決めていた
描くことに対するエネルギーで溢れていたことは、決して悪いことではない。
だが自分に言い訳をして気が向いたときにだけ絵を描く、展示が決まってから制作を始めるということもあった。そのときの彼に足りなかったといえるのは、「自分自身と向き合うこと」。