#013 十数年ぶりに手に取った『エリートヤンキー三郎』に学ぶ、「諦める」という選択肢を持つ生き方|カミーユ綾香の「マイノリティ爆弾」
そのまま不貞腐れて寝込むところだったのですが、本屋でうっかりエリートヤンキー三郎と再会してしまったことにより、あまりのくだらなさに失笑したり、スラムの友人やテキ屋の売っていた梅が枝餅を思い出したりしました。もし今回ソウルに行っていたら、恐らく二度とエリートヤンキー三郎を交わらなかったでしょう。そう考えると、キャンセルになった悲しみが少し癒えるような気がするのです。
諦めることは、そんなに悪いことじゃない
ビジュアライズ(visualize)することの大切さというものを昨今よく聞きます。確かに目標や理想を具体的に想像していくことによって、達成する確率は上がります。だけどそれが想像通りに行かなかったときには、反動で失望も大きいです。カジノで一千万円勝つ自分を強く想像していても、結局家でエリートヤンキー三郎を読むことになることだってあります。じゃあ、最初から希望を持つのを止めてみるとよいのでしょうか。
いや、それだとやっぱりちょっと寂しい。となるとうまく行かなかった状況の中で切り替えて、修正して、楽しむのがベストなのでしょう。熱願冷諦(ねつがんれいたい)ということばがあります。猛烈に具体的に願うのは大事だし、心を冷静に保って現実的に対応することも大事。