「近代化とは、親の世代とは違う夢を持つこと」。急速に近代化する”幸福の国ブータン”を生きる、ある家族の物語『ゲンボとタシの夢見るブータン』監督インタビュー
日本のメディアではよく「世界一幸せな国」と紹介されるブータン。ヒマラヤに残るこの最後の仏教王国は長年鎖国をしていたため「神秘の国」としても知られていたが、1991年に国連に加盟して以来急速な近代化が進んでいる。日ごとに変容を遂げるそんなブータンに生きる、ある家族の物語を描いたドキュメンタリー映画が『ゲンボとタシの夢見るブータン』である。今回Be inspired!は日本での公開を8月18日に控え来日した同作の監督、アルム・バッタライ氏とドロッチャ・ズルボー氏にインタビューを行った。
アルム・バッタライ氏(左)とドロッチャ・ズルボー氏(右)
小さな小さな物語に光を当てる
『ゲンボとタシの夢見るブータン』で焦点が当てられるのは、ブータンのなかでも伝統が色濃く残る地域ブムタンに住む、代々寺院を受け継いできた一家。寺院を息子に継がせたい父親テンジン、近代化の波に乗り遅れないようにと子どもたちの英語教育を重視する母親ププ・ラモ、父親の望みと自身の気持ちの狭間で将来について悩む長男ゲンボ、女の子の体に生まれてきたが心は男の子のタシ、そしておてんばな末っ子のトブデン。映画の軸となるのは長男ゲンボ(撮影当時15歳)