カンボジアを代表する映像作家が、国際交流基金アジアセンターでトークイベント
(Photo:cinemacafe.net)
国際交流基金アジアセンターが6月11日(木)、ドキュメンタリー映画を中心に国際的な評価を得るリティ・パン監督を招き、代表作『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』の上映とトークイベントを行った。日本映画大学との共催で、会場には約100人が駆けつけた。
同作はかつての政治犯収容所「S21」を舞台に、その場に集められたクメール・ルージュの大虐殺による加害者と被害者が、当時の非人間的で過酷な日々を再現していくドキュメンタリー。カンボジア生まれのパン監督は、同作をはじめ20本以上の映画を製作しており、『消えた画 クメール・ルージュの真実』は第66回カンヌ国際映画祭のある視点部門グランプリを受賞している。
「平和構築における文化芸術の役割:自分の声を探すための記憶の重要性」と題したトークでパン監督は、「ごく普通の人間がいかに殺人者に変わるのか。そのメカニズムを解明しなければと思った。殺す側、殺される側の“非人間化のプロセス”は、現在の過激派組織に通じる」と発言。自身も両親や友人を亡くしており、映画製作を通した「尊厳の回復」に強い意思を示した。
現在はカンボジアの視聴覚資料を収集・公開する「ボパナ視聴覚リソースセンター」