【シネマモード】“少年”から“大人”へ…変化の兆しを描く『WISH I WAS HERE』
(Photo:cinemacafe.net)
夢を追い続ける男。なんだかかっこいい響きですね。少年のような心を忘れず、大人になってもやりたいことを諦めず、頑張り続けるなんて素敵。ですが、35歳にして売れない俳優、二人の子どもの面倒を見ながらも、オーディションを受けては落ち続ける日々を送っているとしたら。妻が会社でのセクハラに我慢しながらも、一家の大黒柱として夫を支えなくてはならないとしたらどうでしょう。妻の立場としては、かっこいいだけではすみそうもありませんね。
『WISH I WAS HERE/僕らのいる場所』の主人公エイダンはまさにそんな男。何年も前にフケ用シャンプーのCMに出演して以来無職。
理解ある妻も、さすがにそろそろ現実を見てくれたらな…と思っています。子どもたちがユダヤ系私立学校に通っているのも、孫をユダヤ教徒に育てたい父親が安くない授業料を払ってくれているおかげ。ところが、ガンにかかってしまった父親から、新しい治療の費用がかさむため、もう授業料は払えないと告げられてしまうのです。そんな、いろいろな意味で一大事を迎えたエイダンは、いつまでも夢見がちな少年のままではいられないことに初めて気が付きます(遅すぎますが…)。