社会に罰を与えた…チェコ最後の女性死刑囚描く実話『私、オルガ・ヘプナロヴァー』公開
2016年ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品を飾った本作は、2010年に刊行された原作本を基に、チェコ映画界の新鋭トマーシュ・ヴァインレプとペトル・カズダ両監督が映画化。オルガの人格や行動を擁護することも、伝記映画にありがちな感情的な演出もあえて排除し、ドキュメンタリー的なリアリズムで長編デビューを飾った。
撮影監督は、イエジー・スコリモフスキ監督『エッセンシャル・キリング』(10)で名を馳せたポーランドの名手アダム・スィコラ。
そして大量殺人犯オルガという、社会から孤立する少女から大人への変貌を演じ切ったのは『ゆれる人魚』(15)、『マチルダ 禁断の恋』(17)で注目されるポーランドの若手実力派ミハリナ・オルシャニスカ。
人種や性別、性的指向を背景にした差別、偏見、孤独といった現在も変わらぬ問題の絶望に直面するオルガとして、その内面性と身体性を生かした演技は高く評価され、本作ではチェコ・アカデミー賞主演女優賞をはじめ多くの賞に輝いた。
端正な容姿でオルガを一瞬で虜にするイトカ役には、チェコのマリカ・ソポスカー。友達のアレナ役には、『ゆれる人魚』でミハリナと姉妹役で共演したポーランドのマルタ・マズレク。