東京大学、ヒトがL-グルタミン酸に強い旨みを感じる仕組みを解明
これらの2つの残基は、マウスT1R1では酸性アミノ酸残基であるのに対し、ヒトT1R1ではアラニン残基になっていることから、マウスT1R1では、L-グルタミン酸結合時にこれらの酸性アミノ酸残基とL-グルタミン酸の側鎖のカルボキシル基との間で静電的な反発が生じることで、L-グルタミン酸活性が顕著に低下することが推察されたとする。またその一方でヒトT1R1は、これらの残基の負電荷が消失することに、より高いL-グルタミン酸活性を獲得したことが考えられたという。
一方、マウス型の"幅広いアミノ酸を受容するために重要な残基"については、アミノ酸結合部位とは離れた領域に存在することが判明したことから、これらの残基はアミノ酸の結合に直接関与するのではなく、受容体全体の活性調節に寄与していることが推察されたという。
これは、マウスT1R1/T1R3は受容体の活性がヒトと比べて高いため、多くのL-アミノ酸を受容することが可能になることを示すもので、これらの結果から、T1R1/T1R3のアミノ酸認識が「アミノ酸結合部位におけるアミノ酸選択性(L-グルタミン酸の結合しやすさ)」と「アミノ酸結合部位以外の領域で決定される受容体の活性の強さ」