2014年10月18日 12:00
『グレース・オブ・モナコ』オリヴィエ・ダアン監督「フィクションを通して真実に突き当たることもできる」
――ニコール・キッドマンさんとのやりとりで印象に残っていることはありますか?
グレース・ケリーが自分の結婚式の映像を見ているシーン。ほかの解決方法が見つからなくなってしまった彼女が、離婚という言葉を口にするこのシーンは、映画の中でも一番キーとなる場面になっています。この場面では、どういう風な演技をするのか、どういう風な抑揚・言い方にするのかということを、ニコール・キッドマンと2人で一生懸命話し合い、1日くらいかかりました。しかも、クローズアップが多かったため、テイク数が60ほどになり、少しずつ変えていろんな感情をやってもらい、それを僕が編集し、最適だと思うものをつなげて仕上げました。
――グレース・ケリーが家庭と仕事の間で揺れたり、彼女の周りに、裏で動いてだれかを蹴落とそうとする人がいたり、現代社会に通じるところがたくさんあると感じました。そのあたりはどの程度意識されていたのでしょうか?
それこそまさに描きたかったところです。モナコ公妃の話っていうと、個人的な、世界中の一つの国のエピソードという感じがしますが、そうではなく、今生きている現代女性にも何か感じるものがある、そんなストーリーにしたいというのが、僕がねらっていたことです。